デジタル遺品の基本と3つの注意点!事前準備で防ぐトラブルと対処法

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デジタル遺品の基本と3つの注意点!

デジタル化が加速する現代社会において、「デジタル遺品」の管理が新たな課題として注目されています。

スマートフォンやパソコンに保存された写真、SNSアカウント、金融サービスの利用データなど、私たちの身の回りには多くのデジタルデータが存在します。

本記事では、デジタル遺品の基礎知識から具体的な管理方法、想定されるトラブルとその対策まで、実践的な情報をわかりやすく解説していきます。

目次

現代社会におけるデジタル遺品の基礎知識

スマートフォンやパソコンの普及により生まれた新しい形の遺品について説明します。デジタル遺品の基本的な意味や具体的な種類について解説します。

デジタル遺品の意味を理解しよう

デジタル遺品という言葉に馴染みはありますか?

デジタル遺品は、スマートフォンやパソコンに保存されたデータに加え、インターネットサービスのアカウント情報なども含まれます。デジタル遺品は私たちの生活に深く関わる大切な情報資産です。

なお、デジタル資産やデジタル遺産という表現も使用されています。金銭的な価値を持つデジタルデータを表す際には、デジタル資産やデジタル遺産という言葉が適切です。

デジタル遺品の2つの種類

デジタル遺品は「オフライン」と「オンライン」の2つのカテゴリーに分かれます。分類を理解することで適切な管理方法が見えてきます。

オフラインのデジタル遺品には、端末内に保存された写真やドキュメントファイルが該当します。インターネット接続を必要としないため、端末さえあれば確認できる特徴があります。

オンラインのデジタル遺品には、SNSアカウントや電子決済サービスの利用データが含まれます。インターネット接続が必須となり、ログイン情報がないと閲覧できない性質を持っています。代表的な例として、X(Twitter)やFacebookのアカウント、インターネットバンキングの利用履歴などが挙げられます。

デジタル遺品で起こりうる3つの問題点

デジタル遺品に関連する具体的なトラブル事例を紹介します。適切な対策を立てるため、想定される問題を把握しておきましょう。

端末放置によるセキュリティリスク

使用済みの端末を適切に処分しないと深刻な情報漏えいを引き起こす可能性があります。

スマートフォンやパソコンには、銀行口座の情報やクレジットカードの番号が残されています。端末を廃棄する際にデータ消去を怠ると、悪意ある第三者による不正アクセスを受けるリスクが高まります。個人情報の流出は金銭的な被害につながるため、遺族の方々への影響も無視できません。

継続課金による予期せぬ出費

月額制サービスの契約を解約し忘れると、遺族に思わぬ金銭的負担がのしかかります。

動画配信やオンラインショッピングの定額サービスは便利な反面、解約手続きを行わないと料金が自動的に引き落とされ続けます。残高不足の通知で気付くまで支払いが継続するケースも少なくありません。月額料金の支払いは遺産の目減りにもつながります。

プライバシー情報の意図せぬ開示

デジタル遺品からは故人の非公開情報が露見する場合があります。

個人的な趣味嗜好から企業の機密情報まで、さまざまな非公開データがデジタル機器に保存されています。特に業務関連の機密情報が遺族に閲覧されると、守秘義務違反などの法的問題に発展するリスクがあります。生前から適切なデータ管理を意識することが重要です。

 デジタル遺品を円滑に引き継ぐための事前準備

デジタル遺品の適切な管理方法について解説します。遺族の負担を軽減するため、生前からの計画的な整理が重要になります。

写真・動画データの整理方法

デジタル写真の管理には物理的な保存媒体の活用がおすすめです。

日々蓄積される写真や動画の選別を習慣化することが大切です。不要なデータは即座に削除し、保存する価値のある思い出は外付けハードディスクに移しましょう。

クラウドサービスは利便性が高い一方、利用規約により遺族のアクセスが制限される場合があります。大切なデータは物理メディアでの保管が確実です。

プライバシー情報の保護対策

非公開にしたいデータには暗号化やパスワードロックを設定します。

機密性の高い情報は専用フォルダを作成し、強固なパスワードで保護することが有効です。遺族への引き継ぎを望まないデータについては、削除を依頼する旨を明確に伝えておきましょう。

エンディングノートの活用法

デジタル資産を記録するエンディングノートは遺族への重要な情報源となります。販のエンディングノートは1,000円程度から入手可能で、内容やデザインが年齢層や目的に合わせて多様に展開されています。デジタルサービスや口座情報を整理できる専用ページが用意されているものを選びましょう。

環境変化や新規契約に応じて定期的な更新を心がけることで、より確実な情報伝達が可能になります。

デジタルアカウントの一元管理

金融関連のアカウントは特に慎重な管理が求められます。

インターネットサービスのアカウント情報は以下の4項目を必ず記録します:

  • サービス名称
  • ログインID
  • 登録メールアドレス
  • パスワード

銀行口座やネット証券の情報は相続手続きに直結するため、正確な記録が不可欠です。利用頻度の低い口座は整理統合し、管理の簡素化を図りましょう。

デジタル遺品の適切な処理手順

故人のデジタル遺品を整理する方法について説明します。遺族の立場で行うべき作業と注意点を順を追って解説していきます。

故人の端末アクセスに関する基本知識

デジタル遺品の閲覧には相続人間での合意形成が重要です。

現行法では、相続した端末内のデータを確認することに法的な制限はありません。ただし、ロック解除を業者に依頼する場合は、相続人全員の同意を得ることが望ましいです。遺族間でのトラブルを避けるため、事前に話し合いの機会を設けましょう。

端末売却時のデータ消去

個人情報保護のため、端末の初期化は必須の作業となります。

中古端末の売却前には、工場出荷時の状態に戻すため、端末を初期化する必要があります。販売店任せにせず、持ち主自身で確実にデータを消去することが大切です。

ただし、初期化を急ぐと各種サービスの契約情報が失われる恐れがあります。アカウント情報の整理が完了してから、端末の初期化に着手しましょう。

サービス契約の適切な終了方法

オンラインサービスの解約と追悼アカウントの設定手続きが必要です。月額課金サービスは、速やかに解約手続きを行うことが必要です。各サービスのマイページから手続きが可能ですが、本人確認が必要な場合は運営会社に連絡を取りましょう。主要なSNSプラットフォームでは追悼アカウントへの移行が可能です。思い出の保存を望む場合は、提供される追悼アカウントの設定を検討してみましょう。

まとめ

デジタル遺品は、現代社会に生きる私たちが必ず向き合うべき新しい課題です。スマートフォンやパソコンに保存されたデータ、SNSアカウント、さらには電子マネーやクラウドサービスの情報まで、多岐にわたります。セキュリティリスクや継続課金の問題、プライバシー情報の流出など、様々なトラブルを防ぐためには、生前からの準備が欠かせません。写真データの整理や重要情報の暗号化、エンディングノートの活用など、計画的な対策を進めることで、遺族の負担を大きく軽減できます。デジタル社会における「終活」の一環として、自身のデジタル遺品管理を見直してみましょう。

執筆者

Koh.W

Koh.W

専門分野: セールス及びマーケティング、不動産、ウェルネス

保有資格: MBA、宅地建物取引主任士

日米の上場企業でセールスやマーケティングの経験を持ち、現在はオーラルケアメーカー及びビジネスデベロップメント支援の会社を経営。自らもSEOライターとして活躍しており、特にセールス及びマーケティング、ビジネス、ウェルネスに関する記事作成に定評があります。多様な経験や知識を活かし、クライアント様にとって本当に価値のある製品やサービスを提供することをモットーにしています。

X (旧Twitter): @Koh_KODAWATARU
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