知らないと損する?「相続時精算課税制度」の使い方と、デジタル資産の関係をFPがわかりやすく解説

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相続や贈与の問題は、誰にとっても避けて通れないテーマです。特に近年は、相続税の課税対象が広がり、「うちの家庭には関係ないと思っていた」「親が亡くなって相続税の申告が必要だった」というケースが少なくありません。

2015年の相続税改正で、基礎控除額が大きく引き下げられたこともあり、都市部で持ち家や土地を所有している家庭では、相続税の発生が増えてきました。そのため「相続税対策を早めにしておこう」「子や孫に財産を生前に贈与して活用してもらいたい」と考える人も多いです。

そのような場面で耳にするのが「相続時精算課税制度」です。しかし、この制度は名前から難しそうに感じられて、実際に利用している人は、それほど多くありません。

「贈与税がかからない?」「でも結局、相続税を払うの?」といった不安の声も多いのが実情です。今回の記事では、相続時精算課税制度の仕組みやメリット・デメリットを、FPの視点でわかりやすく紹介していきます。

目次

相続時精算課税制度とは?

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相続や贈与の税制には、さまざまな選択肢があります。その中でも「相続時精算課税制度」は、まとまった資金を一度に子や孫へ渡したいときに、検討される代表的な制度です。

一般的な贈与税のルールでは、年間110万円を超える贈与には、高い税率がかかります。そのため、大きな額を一度に贈与すると、大きな負担が生じます。一方で、相続時精算課税制度を活用すると、2,500万円までの贈与は非課税です。それを超えた部分についても、一律20%で贈与税を納めればよいという、シンプルで分かりやすい仕組みになります。

相続時精算課税制度の概要と簡単なポイント

相続時精算課税制度は、2003年に導入された比較的新しい制度です。目的は「高齢世代から若年世代への資産移転を早めて、子や孫の生活資金や住宅取得に役立ててもらう」ことにあります。

仕組みはシンプルで、次の3つのポイントに整理できます。

  • 生涯を通じて2,500万円までの贈与が非課税
  • 2,500万円を超えた部分は一律20%で贈与税課税
  • 贈与を受けた財産は相続発生時に再度相続財産に合算して、相続税を計算

つまり、贈与時点で一度「仮の税計算」をして、最終的には相続が発生したときに「精算」するイメージです。

相続時精算課税制度を適用できる条件

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相続時精算課税制度を利用できるのは、一定の条件を満たす場合に限られます。贈与を行う側(贈与者)は、贈与時点で、60歳以上の親または祖父母であることが必要です。一方で、贈与を受ける側(受贈者)は、18歳以上の子や孫であり、令和6年(2024年)以降は、成年年齢の引き下げに伴って年齢要件が「20歳以上」から「18歳以上」に変更されています。

この制度は、現金だけでなく、自宅の土地や建物、不動産、株式、投資信託、預貯金などの資産にも適用されます。

  • 贈与者(財産を渡す側):60歳以上の親または祖父母
  • 受贈者(財産をもらう側):18歳以上の子や孫(旧制度では20歳以上)

現金に限らず、不動産や株式なども対象です。

暦年課税との違い

相続時精算課税制度は、多くの人が利用している「暦年課税」と仕組みが大きく異なります。暦年課税では、1年間に受け取った贈与のうち、110万円までは非課税で、超えた部分に対して、贈与税が課されます。そのため、たとえば「毎年100万円を、10年間かけて少しずつ贈与したい」というケースでは、年間非課税枠を活かせる暦年課税の方が便利で、税負担も抑えられます。

一方の相続時精算課税制度は、「子の住宅購入資金として、一度に3,000万円をまとめて渡したい」など、長期的な資産移転を早期に行いたい場合に適しています。この制度では、贈与者ごとに、最大2,500万円までの特別控除枠が設けられており、その範囲内であれば、贈与時の贈与税がかかりません。将来相続が発生した際に、その贈与分を相続財産に加えて「精算」する形で最終的な税額が計算されます。

項目暦年課税相続時精算課税制度
仕組み毎年の贈与額に応じて、課税される方式生前に大きな金額を贈与して、相続時にまとめて税額を精算する方式
非課税枠年間110万円まで非課税贈与者ごとに、最大2,500万円まで非課税(特別控除)
向いているケース・毎年少しずつ贈与したい場合 ・例:「毎年100万円を10年間贈与」など・一度に大きな金額を渡したい場合 ・例:「住宅購入資金として3,000万円を贈与」など
贈与税の発生110万円を超えた部分に課税される2,500万円を超えた部分に贈与税がかかる
相続時の扱い贈与分は、相続財産に含めない贈与分を相続財産に加えて「精算」して再計算される
メリット少額贈与を継続すれば、長期的に税負担を軽減できる早期の資産移転が可能で、大口贈与にも対応できる
注意点長期間の計画的贈与が必要一度選ぶと暦年課税に戻せない点に注意が必要

相続時精算課税制度を利用する流れ

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実際に相続時精算課税制度を使うときには、単に「親が子へお金を渡す」だけではなく、制度のルールに従って、複数のステップを踏む必要があります。流れを一つひとつ確認しておくことで、手続きの見通しが立ちやすくなり、あとで慌てずに済むでしょう。ここからは、代表的な流れをステップごとに整理していきます。

ステップ1:贈与契約を結ぶ

まずは、親から子へ財産を渡すことに合意します。現金であれば、銀行振込、不動産であれば、登記変更といった具体的な手続きを行います。法律上、贈与は口約束でも成立しますが、後々「本当に贈与だったのか」「貸し借りではなかったのか」といったトラブルに発展することも少なくありません。そのため、贈与契約書を作成して、日付や贈与の内容を明記しておくことが望ましいです。特に、不動産や高額資産の場合は、公正証書などの形式を整えておくと安心です。

ステップ2:贈与税の申告

贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、税務署へ贈与税の申告を行います。ここで重要なのは、贈与額が2,500万円の非課税枠内に収まっており、実際に贈与税が発生しない場合でも「申告は必ず必要」という点です。申告をしなければ「相続時精算課税制度を選択した」とみなされず、制度の利用ができなくなってしまいます。つまり、この申告が制度利用の「入口」になるのです。

ステップ3:贈与財産の管理と活用

受け取った財産は、住宅資金に充てたり、株式や投資信託で運用したり、不動産を購入して活用するなど、子や孫のライフステージに応じた形で使われます。一方で、制度を活用した場合でも使い道については、注意しなければなりません。

大きな額を受け取った場合、受贈者が浪費してしまうリスクもあります。特に、若い世代では、金銭感覚が十分に成熟していないケースが多いです。親としては「この資金は住宅に充ててほしい」「教育費に使ってほしい」といった希望を伝えたり、場合によっては、使い道を限定した契約をしたりすると、安心につながります。

ステップ4:相続発生時の精算

贈与者が亡くなったとき、過去に贈与した財産はすべて相続財産に合算されて、相続税を計算します。ここで誤解しやすいのが「生前にたくさん贈与しておけば、その分相続税が軽くなる」という考え方です。

相続時精算課税では、贈与分は、必ず相続財産に戻して計算するため、贈与したことで相続税の負担を軽減できるわけではありません。むしろ、贈与した財産の存在が明らかになることで課税額が高くなるケースもあります。すでに支払った贈与税は、相続税から差し引けますが、「相続税の前払い」という性格を持っていることを、理解しておく必要があるでしょう。

相続時精算課税制度のメリット

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特に、住宅購入や教育資金の援助、将来の資産運用といったライフイベントにおいて、大きなメリットを発揮するのが「相続時精算課税制度」の特徴です。ここでは、相続時精算課税制度の主なメリットを、わかりやすく解説します。

  • まとまった財産を早く渡せる

相続時精算課税制度の大きな利点は、子や孫に対して、一度に大きな金額を贈与できる点です。通常の暦年課税制度では、毎年110万円までが非課税であり、それを超えると贈与税が課されます。たとえば、子どもが住宅を購入する際に、2,000万円を援助したいと考えても、暦年課税では大きな贈与税が発生してしまい、十分な支援が難しくなります。

しかし、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円まで非課税で贈与できるため、子どもの住宅購入や教育費といったライフイベントを支援しやすくなります。特に、住宅資金の援助は、多くの家庭で利用されている典型的な活用方法です。

  • 資産の運用益を若い世代が享受できる

もう一つの大きな魅力は、贈与した資産の将来の運用益や、価値上昇分を受贈者が享受できることです。たとえば、1,000万円相当の株式を贈与して、その後株価が上昇して2,000万円になった場合、増加分1,000万円は子の資産になります。

贈与者の相続財産には、贈与時点の評価額(この例では1,000万円)のみが加算されるため、子は相続開始までの値上がり益を手にできます。長期的に資産価値が増える可能性のある株式、不動産、投資信託などを早めに移転することで、若い世代が、より積極的に資産を活用できるのです。

  • 相続トラブルを防ぎやすい

相続時精算課税制度を活用すれば、生前に「誰に、どの財産を渡すのか」をはっきりと決めることができるため、相続時の争いを未然に防ぐ効果があります。特に不動産や事業資産のように、分割しにくい財産は、遺産分割協議で揉めやすいです。

しかし、生前に制度を活用して相続財産を整理しておけば、残された家族は、相続時に複雑な調整をする必要が減ります。スムーズに相続を進められます。「財産を早めに分けておくことが、家族円満につながる」という点も、この制度が注目される理由のひとつです。

  • 贈与税率が一律20%

通常の暦年課税制度では、贈与額が高額になると、累進課税が適用されて、最高で55%の贈与税がかかることがあります。これに対して、相続時精算課税制度では、非課税枠を超えた部分についても、一律20%で課税されるため、高額贈与を行う場合には、税負担が軽くなるケースがあるのです。

たとえば、5,000万円を一度に贈与する場合、暦年課税では、贈与税が数千万円単位になる可能性があります。一方で、この制度を活用することで、2,500万円までは非課税、それを超える2,500万円に対しては、20%(500万円)の贈与税で済みます。長期的にみると、資産移転にかかるコストを大幅に抑えられる可能性があるのです。

相続時精算課税制度のデメリットと注意点

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「相続時精算課税制度」は、まとまった財産を早く次世代に引き継ぐ便利な仕組みとして注目されています。しかし、注意すべき点や思わぬデメリットも存在します。仕組みを十分理解しないまま利用すると、かえって不利になるケースも少なくありません。ここでは、相続時精算課税制度を検討する際に、知っておきたい主なデメリットと注意点を、わかりやすく解説します。

  • 一度選ぶと暦年課税に戻れない

相続時精算課税制度は、選択すると二度と暦年課税制度に戻すことができないという大きな特徴があります。つまり、制度を使って贈与を始めた時点で「毎年110万円までの非課税枠」を活用できなくなり、その後も一律20%課税が適用されるのです。

たとえば、最初に住宅購入資金として、2,000万円を贈与するために制度を選んだとしても、数年後に小額の贈与を繰り返すようなケースでは、暦年課税のほうが有利だったという事態が起こるかもしれません。この「戻れないルール」を理解したうえで、長期的な贈与計画を立てる必要があります。

  • 相続税対策にならない

多くの人が「生前贈与をすれば、相続税を減らせるのでは?」と考えますが、相続時精算課税制度では、その効果は限定的です。なぜなら、贈与した財産は、相続発生時に、全額が相続財産に戻されるため、結果的に、相続税計算の対象となってしまうためです。

つまり、この制度は「節税制度」ではなく、あくまで資産の早期移転を円滑にするための仕組みだと、理解しなければなりません。もし相続税の圧縮を目的とするなら、暦年課税の非課税枠を毎年活用するほうが有効な場合もあります。

  • 不動産価値のリスク

不動産を贈与する場合には、贈与時点の評価額が基準になります。たとえば、不動産を評価額5,000万円で贈与したとします。その後、市場価格が下がって3,000万円になったとしても、相続発生時には、贈与時点の5,000万円で相続財産に合算されるのです。

結果的に「実際には価値が下がっているのに、高い評価額で相続税が課される」という、不利な状況が生じます。値上がりすれば、受贈者に有利に働く可能性もありますが、不動産は景気や立地条件によって、変動が大きいため、リスクを十分に考慮して選択する必要があるでしょう。

  • 申告義務の手間

相続時精算課税制度を利用する場合、贈与のたびに必ず申告が必要になります。贈与額が非課税枠の範囲内であっても、申告を怠ると制度が適用されません。通常の暦年課税として、課税される恐れがあります。

また、申告漏れや記載の不備があれば、後に税務署から指摘を受ける可能性があり、場合によっては、延滞税や加算税といったペナルティが発生することもあるのです。制度を活用する場合は、毎年の確定申告をきちんと継続できるのかが、重要なポイントです。

  • 生活資金を削るリスク

もうひとつ見落とされがちな点は、贈与する側の生活資金の確保です。相続時精算課税を利用して、子や孫に多額の資産を移転した結果、自身の老後資金が不足してしまうケースがあります。

たとえば、退職後の親が老後の生活費や介護費用を十分に見積もらずに、勢いで数千万円を贈与してしまった場合、後に生活が苦しくなることも実際にあるのです。「生前贈与は家族のため」と考えても、まずは贈与者自身の生活が成り立つことが、大前提であることを忘れてはなりません。

暦年課税との比較シナリオ

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「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」は、いずれも親から子へ資産を贈与する際に利用できる代表的な制度です。しかし、目的や状況によって、有利・不利が大きく異なります。住宅購入のようにまとまった金額を一度に贈与したい場合と、教育資金などを少しずつ援助したい場合では、最適な選択肢が変わります。

ここでは、具体的なシナリオを通して、両方の制度を比較していきましょう。それぞれどのようなケースに向いているのかを、わかりやすく解説します。

シナリオ1:住宅資金として3,000万円を一度に贈与する場合

子どもが住宅を購入する際に、多額の資金を一括で援助したいというケースを考えてみましょう。

  • 暦年課税を選んだ場合

暦年課税では、毎年110万円までは非課税ですが、それを超える部分に対して累進課税がかかります。3,000万円を一度に渡すと、非課税枠の110万円を差し引いた2,890万円に対して、高率の贈与税が課されます。

贈与税の累進税率は最大55%に達するため、場合によっては、1,000万円以上の贈与税が発生してしまう可能性があります。現実的には、暦年課税では少額を毎年コツコツ贈与する方法に適しており、一括贈与には不向きです。

  • 相続時精算課税を選んだ場合

一方で相続時精算課税を活用した場合、2,500万円までが非課税となります。今回のケースでは、残りの500万円に対して、一律20%の贈与税が課税されるため、税額は100万円で済みます。

暦年課税と比較すると、大幅に負担を抑えられます。住宅購入のようにまとまった資金が必要な場面では、非常に有効な制度です。

シナリオ2:教育資金として毎年100万円を贈与する場合

毎年の生活の中で、子どもの教育費を援助するケースを見てみましょう。

  • 暦年課税を選んだ場合


暦年課税では、年間110万円までは非課税です。つまり、教育資金として毎年100万円を贈与するのであれば、申告不要で贈与税もゼロになります。シンプルかつ手間がかからない方法です。

  • 相続時精算課税を選んだ場合

同じく毎年100万円を贈与しても、相続時精算課税では、必ず贈与税の申告が必要です。非課税枠に収まっているため、税額自体は発生しませんが、毎年の申告手続きが増えるだけで、特にメリットはありません。むしろ、事務負担が大きくなるため、このようなケースでは、暦年課税を選ぶ方が合理的です。

相続時精算課税制度が向いている人

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相続時精算課税制度は、すべての家庭に向いているわけではありません。まず、制度の特徴を生かせる「向いている人」の例を見てみましょう。

  • 子どもの住宅購入資金を早く渡したい人

住宅購入など、大きな資金が必要なライフイベントを控えている場合、まとまった金額を一度に贈与できる「相続時精算課税制度」は非常に便利です。暦年課税では、年間110万円までの非課税枠しかないため、数千万円単位の援助には向きません。相続時精算課税なら、2,500万円まで非課税で渡せるため、子どもが住宅ローンを組む前や教育費を準備する段階で、活用しやすくなります。

  • 値上がりが見込まれる資産を移転したい人

株式や不動産など、将来的に価値の上昇が期待できる資産を、子や孫に渡す場合にも有効です。贈与時点の評価額で、相続財産に組み込まれるため、将来の値上がり分は、受贈者が享受できます。長期的に資産運用を行う家庭では、子世代に早めに資産を移して、成長益を活かすことが可能です。

  • 相続トラブルを避けたい人


生前に誰にどの財産を渡すのかを明確にしておくことで、相続時の争いを防ぎやすくなります。特に、不動産や事業資産など、分割が難しい財産がある家庭では、制度を使って生前贈与を行い、家族間で合意を取っておくことが有効です。

制度の活用が向いていない人

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一方で、制度を使うことで、かえって負担や手間が増える場合もあります。向いていない人の特徴も整理しておきましょう。

  • 相続税の心配がほとんどない家庭

相続税の基礎控除内で収まる財産しか持たない家庭では、相続時精算課税制度を利用しても、節税効果はほとんどありません。贈与税の申告や、手続きの手間が増えるだけでメリットは少ないです。

  • 少額贈与を毎年コツコツ続けたい家庭

年間数十万円程の少額贈与を長期的に行いたい場合は、暦年課税のほうが向いています。相続時精算課税は累計2,500万円を基準としているため、少額の贈与では、非課税枠を使い切るまでに時間がかかり、手続きの負担に比べて、メリットが小さくなります。

  • 贈与者自身の老後資金が不安な家庭

生前に多額の資産を渡してしまうと、親世代の老後資金が不足するリスクがあります。医療費や介護費用、生活費などを十分に確保したうえで、贈与を行うことが不可欠です。制度の利用は、あくまで「余裕資金がある場合」に限るべきでしょう。

専門家に相談するポイント

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相続時精算課税制度を安全かつ効果的に活用するためには、専門家のサポートを受けることが非常に重要です。単純に贈与額を決めるだけでなく、税務面や登記手続き、将来の資産運用まで考慮したうえで、計画を立てる必要があります。

まず、税理士への相談は欠かせません。税理士に依頼することで、贈与や相続にかかる税額をシミュレーションしてもらえます。たとえば、「住宅資金として2,500万円贈与した場合、相続時にどのくらいの相続税がかかるのか」「複数回贈与を行った場合の累積課税額」など、具体的な数字をもとに判断できるため、安心して制度を利用できるでしょう。

次に、不動産を贈与する場合は司法書士の活用が有効です。登記手続きや名義変更には、専門知識が必要です。手続きを誤ると、贈与が無効になったり、相続時の課税に影響が出たりする場合があります。特に土地や建物の贈与では、評価額や固定資産税との兼ね合いも考慮しなければなりません。

資産運用や将来設計を考慮した贈与であれば、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も大切です。株式や投資信託を贈与する場合、値上がりリスクや運用計画を含めて、子や孫のライフプランに合わせた、資産移転の設計を行うことができます。

相続対策は「見える財産」と「見えない財産」で考える

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相続時精算課税制度のような生前贈与対策を進めるときは、目に見える資産だけでなく、デジタル上の財産管理も、セットで検討するのがおすすめです。インターネットバンキングやネット証券の口座情報、暗号資産、クラウドに保管された重要データなど、相続時に所在が不明になると、資産の把握や手続きに時間と費用がかかることがあります。

こうしたリスクを防ぐために、デジタル遺品の整理を専門に行う業者に相談するのも有効です。専門家のサポートを受けながら、資産全体を「紙とデジタルの両面」で管理しておくと、より実践的な相続準備ができます。

従来の相続対策がカバーしきれない「デジタルの盲点」

従来の相続対策は、現金や不動産、株式など「目に見える財産」を中心に行われてきました。しかし、インターネットの普及やオンラインサービスの増加に伴い、目に見えないデジタル資産の存在が急速に増えています。

たとえば、ネット銀行やネット証券、仮想通貨ウォレット、クラウドストレージに保存された契約書や契約履歴、ポイントや電子マネー残高なども立派な財産です。

しかし、紙の通帳や証書がないため、家族がその存在を把握できないまま放置されるケースが少なくありません。金融庁の報告では、相続人がオンライン口座の存在に気づかず、資産を引き出せなかったケースもあり、従来の相続対策だけではカバーできない、新たなリスクとなっています。

ネット銀行・証券口座・暗号資産について

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ネット上の金融資産やデジタル資産は、紙の証書がないため、アクセス権限やログイン情報を知らないと実質的に使えません。

銀行口座であれば、残高確認、株式や投資信託であれば、保有状況、仮想通貨であれば、ウォレット情報などを把握する必要があります。しかし、ログイン情報を家族が知らなければ、相続手続き自体が滞るリスクがあるのです。

また、SNSアカウントやクラウドストレージ、メールアドレスも、プライバシー保護の観点から、慎重な対応が求められます。情報が整理されていない場合、資産を正確に把握できないだけでなく、第三者による不正アクセスや情報漏れのリスクも発生するでしょう。

相続時精算課税制度で資産移転を検討している家庭では、デジタル資産の現状を把握して整理することが、手続きの円滑化に直結します。生前からアクセス情報や保有状況を整理しておくことで、家族の混乱や余計なトラブルを防げます。

専門業者によるデジタル遺品整理で円滑な相続へ

デジタル資産の整理は、自身や家族だけで行うには手間がかかり、専門知識も必要です。パスワード管理、アカウント削除、クラウド内データの精査など、慣れていない人が対応すると、誤操作で重要情報を失ったり、贈与や相続手続きに影響が出たりすることがあります。

ここで役立つのが、デジタル遺品整理の専門業者です。デジタル遺品業者は、パソコンやスマートフォン、クラウドサービス、ネット銀行・証券口座、暗号資産ウォレットなどを安全に調査して、必要な情報を整理・分類します。

具体的には、

  • デジタル資産の特定と一覧化
  • 遺族がアクセスできる形でのログイン情報整理
  • 不要なデータの削除や個人情報保護
  • 相続手続きに必要な情報の抽出

といった作業を専門的にサポートしてくれます。

デジタル資産は、相続手続きの停滞や家族間トラブルの原因になりやすいです。相続時精算課税制度を活用して、大きな資産を生前贈与する場合、デジタル資産の把握・整理を行っておくことで、相続時の計算や手続きもスムーズになり、家族の負担を大幅に減らせます。

また、デジタル遺品整理を活用することで、資産だけでなく、契約情報やパスワードなどの「見えない財産」も家族に引き継ぐことができます。これにより、従来の相続対策では見落としがちなリスクをカバーして、安心して資産移転を行うことが可能です。

まとめ

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相続時精算課税制度は、「大きな財産を早めに子や孫に移したい」というニーズに応える制度です。住宅資金や教育資金、株式や不動産といった資産を、一度に贈与できる点が大きなメリットであり、さらに資産の値上がり益を受贈者に移せることや、事前に財産を分けておくことで、相続トラブルを防げる点も魅力です。

一方で、制度には注意すべきデメリットもあります。一度選択すると暦年課税には戻せないこと、相続税対策としては、効果が限定的であること、そして毎年の申告義務が生じることなど、手間やリスクも伴います。さらに、親世代の生活資金を圧迫してしまう可能性もあるため、計画的な利用が欠かせません。

最も重要なのは、制度の仕組みを正しく理解して、家庭の状況に合うのかを判断することです。迷ったときや高額の贈与を検討する場合は、必ず税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、安全かつ効果的に資産移転を行うことができます。

この記事の監修者

 

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石坂貴史

マネーシップス運営代表・FP

証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。デジタル遺品や相続をはじめとした1,100件以上のご相談、記事制作、校正・監修を手掛けています。金融や経済、相続、保険、不動産分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。


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