この記事を読むとわかること
✅ スマホ・パソコンのロック情報を家族に残すべき理由
✅ ネット銀行・証券口座の整理方法と注意点
✅ サブスク放置が引き起こすリスクと対策
✅ 「見られたくないデータ」を自分で整理する方法
✅ デジタル終活を今すぐ始めるための具体的な手順
「まだ早い」と思っていませんか? その考えが家族を苦しめる
「終活なんて、まだ先の話」——そう感じている方は少なくありません。しかし、もし今日から突然、スマートフォンのパスワードが思い出せなくなったら、どうなるでしょうか。
ネット銀行の残高を確認できない。サブスクの解約もできない。大切な写真も取り出せない。
これは決して大げさな話ではありません。厚生労働省の推計によると、2040年には65歳以上の高齢者のうち約584万人が認知症になるとされており、その数は今後も増加が見込まれています。認知症を発症すると、こうした「デジタル情報の管理」が急速に困難になります。そしてその対応に追われるのは、他でもない、あなたの家族です。
この記事では、認知症になる前に整理しておくべきデジタル情報を10項目のチェックリストとしてまとめました。読み終えた後には、「今日からでも始めよう」と思っていただけるはずです。

まず知っておきたい:認知症とデジタル管理の深刻な関係

認知症になると何が起きるのか
認知症になると、パスワード管理やネット手続きが難しくなり、家族の負担が一気に増える可能性があります。
認知症は、記憶力や判断力が徐々に失われる病気です。初期段階では日常会話に支障はなくても、複雑な操作や手順を覚えることが難しくなります。
スマートフォンのパスワード入力、ネットバンキングのログイン操作、サブスクの契約・解約手続き——こうした「デジタルの手続き」は、認知症が進むにつれて真っ先にできなくなることのひとつです。
さらに怖いのが、銀行口座の凍結です。認知症により本人の判断能力に疑義があると金融機関が判断した場合、慎重な本人確認や意思確認が求められ、家族であっても自由に引き出しや手続きが難しくなるケースがあります。対応は金融機関によって異なります。介護費用の支払いや年金の管理にも支障が生じる可能性があるのです。
こうした問題は、すでに「デジタル遺品問題」として社会問題化しています。
「デジタル遺品」問題は今や社会問題
2024年11月、国民生活センターは「今から考えておきたい『デジタル終活』」という啓発資料を発表しました。そこには、実際に寄せられた相談事例が記されています。
- 故人のネット銀行の手続きをしようとしたが、スマートフォンのロックを解除できず、そもそも取引先銀行すら特定できなかった
- QRコード決済サービスの相続手続きが、1か月以上経っても完了しなかった
- 故人が契約していたサブスクの請求を止めたいが、IDとパスワードが不明で手続きが進められなかった
これらは「亡くなった後」の話ですが、認知症の場合は本人が生きているうちから同じ問題が発生するという点で、さらに深刻です。本人は意思を表示できず、家族も勝手に手続きできない——そんな「宙ぶらりん」状態に陥るリスクがあります。
デジタル終活チェックリスト10選
認知症になってからでは整理が難しくなる情報も少なくありません。
まずは以下の10項目から確認してみましょう。

チェック1:スマートフォン・パソコンのロック解除情報
なぜ必要か? スマートフォンやパソコンにロックがかかっていると、家族は中の情報に一切アクセスできません。携帯電話会社の店舗でも「初期化はできるが、ロック解除はできない」と断られることがほとんどです。初期化してしまえば、中のデータはすべて消えてしまいます。
整理すること
- 端末のPINコード・パスワード・指紋/顔認証の登録状況
- Apple IDまたはGoogleアカウントのID・パスワード
- 信頼できる家族への伝達方法(直接伝える、エンディングノートに記載するなど)
チェック2:ネット銀行・証券口座の一覧

なぜ必要か? ネット銀行は通帳が存在しません。そのため、家族が口座の存在そのものを知らないケースが多くあります。認知症になった後や亡くなった後に、「どこに口座があるかわからない」という事態になると、資産の把握さえできなくなります。
また、認知症による判断能力の低下が銀行に認識されると、口座が凍結される可能性があります。介護費用の支払いや日常の引き落としにも支障が出るため、事前の対策が不可欠です。
実際の相続手続きの現場では、金融機関ごとに必要書類や手続き方法が異なります。家族が口座の存在を把握していないだけで、手続きが何か月も長引くケースも珍しくありません。「どこに口座があるか」を書き残しておくだけでも、家族の負担は大きく変わります。
整理すること
- 利用中のネット銀行・証券会社の名称とログインID
- 口座番号(メモまたはエンディングノートに記載)
- 家族信託や任意後見制度の活用を検討しているか
チェック3:サブスクリプションサービスの契約一覧
なぜ必要か? 動画配信、音楽ストリーミング、クラウドストレージ、ニュースサイトの有料会員……気づけば月に何件もサブスクを契約しているのが現代人の実情です。
認知症になって管理ができなくなると、使っていないサービスの課金が延々と続く可能性があります。解約手続きにはIDとパスワードが必要なため、家族が勝手に止めることも困難です。
整理すること
- 利用中のサブスクサービス名と月額料金
- 各サービスのID・パスワード
- 不要なサービスは今のうちに解約しておく
チェック4:クレジットカード・電子マネーの管理
なぜ必要か? 認知症の初期症状のひとつに「同じものを何度も買ってしまう」「高額な買い物を繰り返す」といったものがあります。クレジットカードを何枚も持っていると、こうした被害が拡大しやすくなります。
また、PayPayやSuicaなどの電子マネーに残高が残っていた場合、相続手続きが非常に煩雑になります。
整理すること
- 保有しているクレジットカードの一覧と引き落とし口座
- 電子マネーの種類と残高の確認方法
- 不要なカードはあらかじめ解約しておく
チェック5:SNSアカウントの整理と死後の対応方針
なぜ必要か? FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSアカウントは、本人が亡くなった後もそのまま残り続けます。放置されたアカウントは第三者に乗っ取られるリスクがあり、なりすまし被害につながることもあります。
一方で、「思い出として残しておきたい」という気持ちもあるでしょう。Facebookには「追悼アカウント」として保存する機能もあります。自分がどうしたいかを、生前に決めておく必要があります。
整理すること
- 利用中のSNSの一覧とログイン情報
- 死後のアカウントをどうするか(削除・追悼・引き継ぎ)の意思表示
- 「デジタル遺産管理人」として信頼できる人を指定しておく
チェック6:クラウドストレージに保存したデータの整理
なぜ必要か? GoogleフォトやiCloudには、長年にわたる写真・動画・文書が保存されています。アカウントにアクセスできなくなると、それらのデータはすべて取り出せなくなります。また、クラウドのストレージ料金は毎月課金されているため、解約できないまま費用だけが発生し続けることになります。
整理すること
- 利用中のクラウドサービスの種類と容量・料金プラン
- 重要なデータのバックアップ(外付けHDDやUSBメモリへの保存)
- 残したいデータと削除してよいデータの仕分け
チェック7:メールアカウントの整理
なぜ必要か? メールアカウントには、各種サービスの登録情報や重要な通知が届いています。家族がメールにアクセスできないと、どんなサービスに登録しているかの手がかりすら失われます。また、プロバイダのメールアドレスは死後に解約が必要です。
整理すること
- 利用中のメールアカウントの一覧(Gmail、Yahoo!メールなど)
- 各アカウントのID・パスワード
- 重要なメールの保存場所や管理方法
チェック8:パスワード管理の方法と引き継ぎ
なぜ必要か? 「パスワードをどこに書いておくか」は、デジタル終活の核心ともいえる問題です。パスワード管理アプリ(1Password、Bitwardenなど)を使っている場合、そのアプリのマスターパスワードを家族が知らなければ、中の情報には一切アクセスできません。
一方で、パスワードをメモに書いて目につくところに置いておくのもリスクがあります。「信頼できる家族だけが知っている場所」に保管する方法を検討しましょう。
整理すること
- パスワード管理の方法(アプリ・メモ帳・エンディングノートなど)
- パスワード管理アプリを使っている場合はマスターパスワードの伝達方法
- 定期的なパスワードの更新と記録の更新
チェック9:デジタル資産(仮想通貨・ポイント・有価証券)の把握
なぜ必要か? 仮想通貨(暗号資産)は、秘密鍵やウォレット情報がなければ家族が取り出すことができません。また、ポイントや電子マネーには有効期限があり、放置すると失効してしまいます。ネット証券の株式・投資信託も、口座情報がなければ家族は存在を把握できません。
整理すること
- 保有している仮想通貨の種類とウォレット情報
- ポイントサービスの一覧(楽天ポイント、Vポイント(旧Tポイント)、マイレージなど)
- ネット証券の口座情報と保有銘柄の概要
チェック10:「見られたくない情報」の事前整理

なぜ必要か? 終活において見落とされがちなのが、「見られたくない情報の整理」です。
パソコンのフォルダに残った過去の写真、昔の恋愛に関する画像や動画、個人的な日記や感情を綴ったメモ、SNSのダイレクトメッセージのやり取り——自分では忘れていても、第三者に見られたくない情報は意外と多いものです。
認知症になってからでは、自分でその情報を処理することが難しくなります。元気なうちに、残すものと消すものを自分自身で決めておく。それが、自分らしい最期を迎えるための大切な準備です。
そして「デジタル終活」とは、単に死後の手続きを楽にするだけのものではありません。「自分が見られたくないものを、自分で守れる最後の機会」でもあるのです。
整理すること
- 削除しておきたいファイル・写真・メッセージの整理
- 家族に見せたくないアカウントやデータの削除
- 「自分の意思でデータを整理した」という事実を信頼できる人に伝えておく
まとめ:「もっと早く整理しておけばよかった」と後悔しないために
「もっと早く整理しておけばよかった」——これは、相続や介護の現場で家族からよく聞かれる言葉です。
元気な今なら、何を残し、何を消し、誰に託すのかを自分で決められます。デジタル終活とは、家族のためだけではなく、自分自身の意思を最後まで守るための準備でもあるのです。
10項目すべてを一度にやろうとしなくても構いません。まずはスマートフォンのロック解除情報と、ネット銀行の口座一覧だけでも整理してみてください。その一歩が、あなた自身と大切な家族を守ります。
■ ひとつでも当てはまる方は要確認
- パスワードを家族に伝えていない
- ネット銀行を利用している
- サブスクを複数契約している
- スマホの中に見られたくない情報がある
- 何から始めればいいかわからない
デジタル情報の整理、一人で抱え込まないで
「何から始めればいいかわからない」「自分一人では整理しきれない」——そんな方のために、頼れるサービスがあります。
こんな方は、ぜひ一度専門家への相談を検討してみてください。
- 何から始めればよいかわからない
- ネット銀行や証券口座を利用している
- 家族にパスワードを共有していない
- 見られたくないデータを整理したい
- 将来、家族に迷惑をかけたくない

デジタル資産の生前整理サービスならデジ・タクセル は、「残したい情報」と「見られたくない情報」を、ご本人の意思に基づいて整理・管理するサポートをしてくれるサービスです。デジタル遺品整理とは異なり、生きている今の段階から、専門家と一緒に自分のデジタル情報を整えることができます。
「まだ元気だから」ではなく、「元気な今だからこそ」——その一歩が、あなた自身と大切な家族を守ります。
ぜひ一度、デジ・タクセルのサービス内容をご確認ください。
参考資料
- 国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日)
- 厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(65歳以上の5人に1人が認知症との推計を含む)
- 金融機関・全国銀行協会等による認知症顧客対応に関する資料(認知症の方への金融取引対応指針)






