デジタル遺品整理は、故人が残したデジタルデータを適切に管理し、安心して次の世代に引き継ぐための重要なプロセスです。
本記事では、デジタル遺品整理の基本から始めるタイミング、注意点、そして後回しにするリスクについて詳しく解説します。
デジタル遺品整理とは?
デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を通じてインターネット上に保管されている情報やデータです。
具体的には、写真や動画、メール、SNSアカウント、サブスクリプションサービス、オンラインバンキングの口座情報などが含まれます。
日本ではデジタル遺品に関する法整備が十分に進んでいないため、適切な準備をしておかないとトラブルを引き起こす可能性があります。
そのため、デジタル遺品の種類を理解し、整理を行うことが重要です。
近年、スマートフォンの普及とインターネットの利用が急増しており、デジタル遺品の量も増加しています。
デジタル遺品自体が発展中であるため、その扱い方も変化していくと予測されます。
デジタル遺品整理の必要性
デジタル遺品整理の必要性については以下のような理由があります。
- 定期課金サービスの支払いを即時に停止できる
多くの人が利用しているサブスクリプションサービスは、故人が亡くなった後も自動的に課金され続けます。
デジタル遺品整理を行うことで、サービスの支払いを早期に停止し、無駄な出費を防ぐことが可能です。
- 相続に関するトラブルを未然に防ぐことができる
デジタル遺品には、オンラインバンキングの口座や投資アカウントなど、相続に関わる重要な情報が含まれています。
整理することで、相続手続きがスムーズに進み、親族間でのトラブルを避けることが可能です。
- SNSやブログなどでのなりすましを防止できる
故人のSNSやブログアカウントなどが放置されると、不正アクセスによるなりすましのリスクが高まります。
デジタル遺品整理を行うことで、こうしたリスクを減少させ、第三者が被害を受けるのを防ぐことが可能です。
- データの流出を防ぐことができる
故人のデバイスやクラウドサービスには、個人情報やプライベートなデータなどが多く含まれています。
データを適切に整理・削除することで、情報漏洩を防ぐことが可能です。
データの安全な管理には、専門業者の利用も検討すると良いでしょう。
デジタル遺品の種類
デジタル遺品には多岐にわたる種類があります。
- パソコン、スマートフォンに保存された写真、動画
- クラウドストレージに保管されている写真、動画
- メール、SNSのアカウント
- 購入済みのライセンス、サブスクリプションサービス
- オンラインバンキングの口座など
デジタル遺品整理を始めるタイミングと最適な時期は?
デジタル遺品整理を始めるタイミングには特に決まりはありません。
遺族の気持ちが落ち着いた時期、時間的な余裕がある時期に始めることが重要です。
一般的な遺品整理のタイミング
一般的な遺品整理のタイミングには以下のようなものがあります。
デジタル遺品整理も以下のタイミングで始めると、区切りが良くさまざまなメリットを得ることが可能です。
- 葬儀が終了した後
葬儀が終わった後は、遺族が集まっているため、話し合いながら整理を進めることができます。
特に遠方に住む遺族がいる場合、葬儀後に行うのが適しています。
もし時間が取れない場合は、話し合いだけでも進めておくと良いでしょう。
- 故人に関する手続きが完了した後
死亡届や保険証の返納、水道、ガスの手続きなど、故人に関する手続きが終わった後は、気持ちに余裕が生まれます。
この時期にデジタル遺品整理を始めると、落ち着いて故人と向き合うことが可能です。
- 四十九日の法要が終わった後
四十九日法要が終わると、仏教では喪に服す期間が終わり、遺品整理を始めやすい時期とされています。
親族が集まりやすいため、話し合いながら整理を進められ、トラブルを防ぐことが可能です。
- 相続税を申告する前に
相続税の申告は故人が亡くなった翌日から10カ月以内に行う必要があります。
遺品整理を早めに行い、相続財産を正確に把握することで、相続税の申告漏れを防ぐことが可能です。
遅くても7〜8カ月後には整理を始めると良いでしょう。
デジタル遺品は特に生前整理も重要
デジタル遺品整理は、故人が亡くなってから行うだけでなく、生前に整理しておくことも非常に重要です。
- 相続人を事前に決めておく
まずは、デジタル遺品を管理する信頼できる相手を選びましょう。
エンディングノートを渡す相手でも構いませんが、デジタルに疎い場合は知識のある別の人を選ぶと良いでしょう。
選ぶ相手によっては、パスワードのロックやネットバンクのログイン失敗などのトラブルが想定されます。
- デジタル遺品を含む遺言書を作成する
デジタル遺品も重要な財産の1つです。
遺言書にまとめ、遺産目録を添付して相続人に存在を知らせましょう。
これにより、遺産分割のトラブルを避けることができます。
- エンディングノートに必要な情報を記入する
エンディングノートには、デジタル遺品にアクセスするための必要な情報を記載しておきましょう。
パスワード、登録用のメールアドレス、ID、電話番号などをまとめ、パソコン・スマートフォンのロックを解除するためのパスコードも忘れずに記録してください。
エンディングノートはセキュリティのため、自宅の金庫など他人に見られない場所に保管しましょう。
パスワードの使いまわしがある場合は変更しておくと安心です。
- 不要なデータを事前に削除しておく
他人に見られたくない写真や動画、機密文書など、使用していないデータがあれば削除しておきましょう。
スマートフォン・パソコン内だけでなく、LINEやFacebook、Gmailなどのクラウドサービスデータもチェックしておくことをおすすめします。
デジタル遺品整理を始めるときの注意点
デジタル遺品整理を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 独断で整理を行わない
遺族全員で話し合いながら整理を進めることが大切です。
独断で整理を行うと、後々トラブルになる可能性があります。
- 適当にパスワードを入力しない
パスワードを適当に入力すると、アカウントがロックされる恐れがあります。
パスワードの管理は慎重に行いましょう。
- 理解せずにデータを削除しない
データを削除する前に、そのデータが何であるかをよく確認しましょう。
重要なデータを誤って削除すると、取り返しがつかなくなることがあります。
- 不必要なデータを誤って目にしないよう注意する
デジタル遺品の中には、プライベートな内容が含まれていることがあります。
不必要なデータを誤って目にしないよう、慎重に整理を進めましょう。
デジタル遺品整理を後回しにするリスク
デジタル遺品整理を後回しにすると、以下のようなリスクがあります。
- 故人が契約していたサービスの料金を払い続けることになる
故人が契約していたサブスクリプションサービスの料金が、整理を怠ることで払い続けなければならなくなり、無駄な出費が発生してしまいます。
- 個人情報が漏洩する恐れがある
放置されたデジタル遺品は、不正アクセスにより個人情報が漏洩するリスクが高まります。
適切に整理することで、このリスクを減らすことが可能です。
- 相続漏れが発生し、親族間でトラブルになる可能性がある
デジタル遺品を適切に管理しないと、相続漏れが発生し、親族間でトラブルになる可能性があります。
これを防ぐためにも、早めに整理を行うことが重要です。
まとめ
デジタル遺品整理の方法について説明しましたが、対策を始めるタイミングが重要です。
実際には「いつ」という具体的な時期はなく、「思い立ったらすぐに」という早めの行動が推奨されます。
人間の死は予測できないものであり、今日かもしれないし明日かもしれません。
そう考えると、早めに対策を始めるに越したことはないでしょう。
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