エンディングノートは書いた方がいい?メリットや書き方のコツを解説

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終活ブームが定着するとともに、エンディングノートを書く人が増えてきました。

しかし、エンディングノートが本当に必要なのか、デメリットはないのかと考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、エンディングノートは本当に書くべきなのかや書く際の注意点などについてくわしく解説します。

目次

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、万一に備えて自分に関するさまざまな情報を記したノートです。

自分が亡くなったあと家族が困らないように、所有する財産の情報や葬儀・お墓の希望などを記録します。さらに、急な病で倒れたときなどに延命治療や告知を希望するかどうかなどもエンディングノートでよく書かれる項目のひとつです。

特に決まった形式はないので、備忘録として利用したり今後の計画などを記入しても問題ありません。

エンディングノートは何のために書くのか?

エンディングノートを書くのは家族のためでもあり、自分のためでもあります。家族にとっても自分にとっても、もしものときに備えてさまざまな情報や意向を記録するのはたいへん重要です。

エンディングノートを書くメリット①自分の死後家族が困らないように

最近は葬儀や埋葬方法を故人の意向に沿った形で進めるケースが増えています。口頭で希望を伝える方法もありますが、トラブルを防止するためにはできれば書面で残しておくべきです。

また、資産についてもすべての資産をリスト化しておけば相続などの手続きもスムーズに進められます。借入金などの負の資産の方が多くて収支がマイナスになるのであれば、遺族は相続放棄も検討しなければなりません。

エンディングノートを書くメリット②もしものときに備えるため

エンディングノートは自分が亡くなったあとのことだけを書くノートではありません。高齢になると、急に倒れて意識不明になるようなケースも想定する必要があります。自分で判断できなくなった時に延命治療をどうするのか、あるいはがんの告知を望むのかなどもあらかじめ意思表示しておくと家族の負担を軽減できます。

エンディングノートを書くメリット③残り人生を悔いなく過ごすため

エンディングノートをつけるのは、過去の人生を振り返り現状を整理することでもあります。

自分の過去と現在を見つめ直すと、今後どのように過ごしたいかが見えてくるでしょう。

例えば、将来やりたい計画や目標があるならばどれくらいのお金が必要なのか、現在の資産で可能なのかがわかります。もし金額が足りないのであれば、節約をするか収入を増やすことを検討しなければなりません。

将来生き生きとした人生を送るためにも、エンディングノートは役立ちます。

エンディングノートに書く内容

エンディングノートに書く内容は、主に以下の9項目です。

①自分自身の基本情報 ②自分のプロフィール ③家族の情報 ④医療や介護の情報・希望 ⑤葬儀・埋葬方法の希望 ⑥財産の情報 ⑦家族・親族・友人へのメッセージ ⑧今後の計画・目標 ⑨その他

①自分自身の基本情報

・氏名

・生年月日

・現住所・本籍地

・血液型

・健康保険証・介護保険・運転免許証の番号、マイナンバーなど

②自分のプロフィール

・自分史

・学歴・職歴

・資格

・趣味・特技

③家族の情報

・家族構成

・家系図

・それぞれの家族の住所、家族、略歴など

④医療や介護の情報・希望

自分がもし急に倒れたときなどに周りの人が困らないようにアレルギーの有無や既往症などの医療の情報を記録します。ガンの告知を希望するかなど、あらかじめ考えておくと良いでしょう。

・アレルギーの有無

・既往症、常用薬

・かかりつけ医の有無

・がんの告知を希望するかどうか

・終末治療・延命治療を希望するかどうか

・どのような介護を希望するか

⑤葬儀・埋葬方法の希望

最近は自分の葬儀や埋葬方法に関して、生前に希望を伝える人が増えています。

・信仰する宗教・宗派

・葬儀のスタイル(家族葬、直葬、無宗教葬など)

・葬儀に招待したい人・招待しない人

・お墓・埋葬の方法(先祖のお墓、永代供養墓、樹木葬、海洋散骨など)

・遺影に使ってほしい写真

・喪主を誰にするか

⑥財産の情報

財産は預貯金や不動産だけではなく、借入金などの負の資産やデジタルの資産の情報も記載しましょう。

・預貯金口座(金融機関名、支店、口座番号)

・保有株式など

・生命保険、損害保険など各種保険の情報

・不動産

・クレジットカード・電子マネーなどの情報

・その他、所有する貴金属など

・借入金など負の資産の情報

⑦家族・親族・友人へのメッセージ

なかなか面と向かっては言えない家族への感謝の気持ちや友人との思い出などを文章として残せます。

⑧今後の計画・目標

亡くなったあとのことだけでなく、今後の人生の計画や目標を設定するのはたいへん重要です。

「昔やっていたが、仕事や子育てで時間がなくなり中断していた趣味を再開する」「若いころ旅行で訪れた思い出の地にもう一度行ってみたい」などの目標を設定し、その目標に向かってチャレンジすることは充実した人生を過ごすきっかけになります。

⑨その他

最近はさまざまなサブスク(サブスクリプションサービス)の利用者が増えています。故人が契約していたサブスクの情報を家族が知らなければ、亡くなったあとも毎月料金が引き落とされる可能性も考慮しなければなりません。

サブスク以外にもSNSのアカウントなど、デジタル関連の情報も整理する必要があります。

・契約しているサブスクの情報

・SNS(Twitter、Instagramなど)のIDとパスワード

・パソコン・スマートフォンのログインパスワード

・その他の契約しているサービスの情報

・ペットの引き取り先など

エンディングノートで注意することは?

エンディングノートを書く際には、以下の点に十分気をつけてください。

エンディングノートに法的効力はない

最も注意しなければならないのは、エンディングノートに法的効力はないという点です。

エンディングノートに遺産分割の方法などを書いても、法定相続人が異議を唱えれば故人の希望通りにはなりません。

法律で定められた遺産の分配とは異なる分配方法をエンディングノートにだけ書いていると、残された遺族の間でトラブルに発展する可能性があります。法定相続とは異なる分配や法定相続人以外に遺産を渡したい(遺贈)のであれば、必ず遺言書を作成しましょう。

保管の場所・方法に注意

エンディングノートには多くの個人情報や金融資産の情報が記録されています。空き巣被害などにあったときに簡単に発見される場所に保管するのは賢明ではありません。

預金通帳や印鑑、クレジットカードなどと一緒に保管するのは絶対にやめましょう。

エンディングノートを書くときのコツ

決まった形式はない

エンディングノートの書き方に決まった形式はありません。白紙のノートを使って、必要な情報を書き連ねることもできます。とはいえ、やはり市販されている既製のエンディングノートの利用をおすすめします。

市販のノートには、上記の「エンディングノートに書く内容」の項目が用意されています。必要に応じてそれらの項目を埋めていきましょう。市販の多くのエンディングノートには、記入するうえでのアドバイスも書かれています。

自分のペースで進める

市販のエンディングノートには、記載すべき項目がたくさんあります。膨大な量の情報をすべて書き込むのは簡単ではありません。

エンディングノートを書くためには、最初から完璧を目指さずに自分のペースで進めるのが重要です。最初から項目を埋める必要もありません。書きたい項目・書ける項目から書いていきましょう。

家族と一緒に進める

エンディングノートの項目の中でも、延命治療やお葬式をどうするかについては家族と話しながら進めるようおすすめします。ノートに書くだけでなく、実際に自分の希望に対して家族がどう思っているかを知るのは非常にたいせつです。

今後の生活や自分が亡くなったあとについて、家族と一緒に考えることは家族の絆をより一層深めるきっかけにもなります。

また、自分が亡くなったあとエンディングノートの存在を家族のだれも知らなければ、せっかく作った意味がありません。

エンディングノートだけでなく、家族の協力を得ながら終活を進めるようにおすすめします。

ときどき見直す

エンディングノートは一度書いて終わりではなく、定期的に見直すことが必要です。

金融資産の内容は頻繁に変動する可能性があります。また、医療・介護や葬儀の希望についても、心変わりするかもしれません。

定期的に見直して、最新の情報に更新しましょう。

金融資産などの内容が頻繁に変動する情報に関しては、記載時の日付を明記するのをおすすめします。

エンディングノートを手軽に始める方法

エンディングノートは書店などで手軽に購入可能です。さまざまな種類のエンディングノートが1,000円前後で販売されています。

わざわざ購入しても長続きするかどうか自信がないようであれば、無料で手軽に始める方法をおすすめします。

無料配布のエンディングノートを利用する

多くの自治体では、エンディングノートを無料配布しています。自治体がエンディングノートを配布する理由は孤独死などの高齢者問題に対処するためです。身寄りのない人が亡くなった場合、死後の手続きは行政がしなければなりません。行政の負担を減らし、高齢者も安心して老後を送れるように行政がエンディングノートを配布しています。

自治体が配布するエンディングノートが市販のものと違うのは、困った時の行政の窓口が記載されている点です。お住まいの自治体でエンディングノートを配布しているか確認して見ると良いでしょう。

一般企業でも、葬儀会社や高齢者に関わるビジネスを展開している企業などがエンディングノートを無料で配布しているケースがあります。

デジタルエンディングノートを利用する

スマホやパソコンを使用するのに抵抗がなければ、デジタル版のエンディングノートがおすすめです。デジタル版の特徴は、冊子版に比べて書き直すのが簡単な点です。

上記で紹介した無料配布のエンディングノートにも、デジタル版がたくさんあります。自治体配布のものでも、その自治体に住んでいるかどうかに関わらずダウンロードが可能です。

また、スマホ・タブレット用のアプリもいくつか存在します。

スマホアプリには、預金通帳を写真撮影するだけで、口座情報などを自動で入力できるような機能を持ったものもあります。

また、一定期間スマホの操作がないと自動的に離れた家族などの連絡先に通知してくれる「見守り機能」や、亡くなったときに金融資産や各種ID・パスワードなどを家族に開示する機能を備えたアプリもでてきました。

このような仕組みがあれば、個人情報が盗まれる可能性は低いでしょう。

スマホをお使いであれば、ぜひ検討をおすすめします。

まとめ

特に何歳から始めなければならないという決まりはありませんが、人生の後半に差し掛かる年齢であれば、エンディングノートをつけることをおすすめします。

自分にとっても家族にとっても、万が一に備えるのはとても重要です。

無料配布版やデジタル版を使って、気軽にエンディングノートを始めてみてはいかがでしょうか。

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