相続放棄申述書の作成から提出まで!5つのステップで分かる手続きの流れ

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相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄する法的手続きです。この手続きには「相続放棄申述書」の提出が必要不可欠ですが、多くの方にとって馴染みのない書類かもしれません。

本記事では、相続放棄申述書の入手方法から記入のポイント、提出手順まで、手続きに必要な情報を分かりやすく解説します。期限内の適切な提出のため、申述書の作成方法をしっかり理解しましょう。

目次

相続放棄の意思を示す公的書類について

相続放棄申述書は、相続権を放棄する意思を家庭裁判所へ伝えるための重要な公的書類となります。適切に記載された申述書を戸籍謄本などの必須書類とともに提出することで、相続放棄の手続きが進められます。

【相続放棄申述書の入手方法】

以下の書式をダウンロードできます。

申述書の提出場所について

亡くなった方の最後の住所を管轄する家庭裁判所が唯一の正式な提出先となります。他の家庭裁判所では受理されないため、以下の手順で正しい提出先を確認することが重要です。

  1. 亡くなった方の最後の住所を確認する
    • 住民票の除票から確認できます
    • 親族から情報を得ることも有効です
  2. 管轄の家庭裁判所を特定する
    • 裁判所ウェブサイトの管轄区域検索を利用
    • 不明な場合は最寄りの家庭裁判所に問い合わせ可能
  3. 提出方法を決める
    • 窓口への直接提出
    • 郵送での提出

管轄となる裁判所は裁判所ホームページの区域検索から確認することができます。

申述書の提出期限について

相続開始を知った日から3か月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると、原則として相続放棄の手続きができなくなります。財産状況の把握に時間を要する場合は、家庭裁判所へ申し立てることで期限を延長できる制度があります。

申述書の作成方法について

相続放棄申述書は一般的な様式で作られており、自身で記入することが可能です。申述書の各項目は分かりやすく設計されているため、専門家への依頼は必須ではありません。ただし、相続放棄という重要な判断については、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

申述書作成の効率的な進め方

必要書類をすべて揃えてから申述書の作成に取り掛かることで、スムーズに手続きを進められます。申述書には亡くなった方の本籍地や最終住所など、戸籍謄本等の書類で確認する必要がある情報が含まれています。書類を手元に用意してから記入を始めることで、正確な情報を漏れなく記載できます。

相続放棄申述書の正しい記入方法について

相続放棄申述書の様式は基本的にシンプルですが、片面印刷の規定や戸籍謄本との整合性など、いくつかの重要なルールに従う必要があります。以下で各記入欄の注意点を詳しく解説いたします。

申述書における裁判所名と日付の正確な記入方法

裁判所名と申述日は書類の有効性を左右する重要な情報です。以下のポイントに注意して記入してください。

裁判所名の記入方法:

  • 亡くなった方の最終住所地を管轄する家庭裁判所名を書きます
  • 正式名称から「家庭裁判所」を除いた地名のみを記入
  • 例:「東京家庭裁判所」なら「東京」と記入
  • 支部の場合は「東京(立川支部)」のように支部名も併記

申述日の記入について:

  • 家庭裁判所に実際に提出する日付を記入
  • 西暦ではなく和暦で記入
  • 数字は算用数字を使用(例:令和6年4月1日)

記入時の注意事項:

  • 修正は認められますが、できるだけ書き損じに注意
  • 提出予定日が変更になった場合は、日付の修正が必要
  • 郵送の場合は投函予定日を記入

申述人に関する詳細情報の記載

申述書には本籍、現住所、連絡先電話番号、氏名、生年月日、職業、被相続人との続柄などを漏れなく記載します。成人と未成年では記入方法が異なりますので、以下の記入例を参照してください。

法定代理人欄の記入方法

未成年者による相続放棄の場合は、親権者または後見人の情報を法定代理人欄に記載します。日中に確実に連絡が取れる電話番号の記入が重要です。成人が自身で手続きを行う場合は空欄となります。

被相続人情報の入力方法

本籍地、最終住所、氏名、死亡日時、死亡時の職業を記入します。本籍は戸籍謄本で、最終住所は住民票除票で確認します。申述人と同一の場合は「申述人に同じ」と記載可能です。

申述内容と開始日の記載

相続開始を知った日付は、自身が相続人となったことを認識した日を正確に記入することが極めて重要です。通常は被相続人の死亡日と一致することが多いですが、状況により異なる場合もあります。期限を超過した場合は、正当な理由を記した上申書の添付が必要となります。

放棄理由と財産状況の記載

放棄理由は該当する選択肢に印を付けます。その他を選んだ場合は具体的な理由を簡潔に記述してください。財産概要欄には判明している資産・負債を記入し、不明な部分は「不明」と明記します。

相続放棄申述書の提出手順と必須書類について

管轄となる家庭裁判所は、亡くなった方の最終住所地によって決定されます。裁判所の管轄区域は公式ホームページから確認することができます。

申述書の提出方法について

申述書は家庭裁判所への直接提出と郵送のどちらかを選択できます。遠方にお住まいの方は郵送が便利ですが、期限が迫っている場合は直接提出することで記入ミスなどをその場で修正できます。

必要となる提出書類について

基本的に必要となる書類は以下の通りです。

  • 相続放棄申述書
  • 亡くなった方の住民票除票または戸籍附票
  • 申述する方の戸籍謄本

相続人の種類別に必要な追加書類は以下をご覧ください。

相続人の種類追加で必要な書類特記事項
配偶者被相続人の死亡記載のある戸籍謄本同一戸籍の場合は不要
子供・孫被相続人の死亡記載のある戸籍謄本代襲相続の場合は追加書類必要
父母・祖父母被相続人の全期間の戸籍謄本一式上位相続人不存在の証明必要
兄弟姉妹被相続人と両親の戸籍謄本一式上位相続人全員の状況確認必要

手続きにかかる費用と所要期間

手続きには以下の費用が必要です。

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍・改製原戸籍:1通750円
  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:400円程度

申述書提出後の手続きの流れ

提出から約2週間後に「相続放棄の照会書」が送付されます。以下の項目について回答が求められます。

  • 相続開始を知った経緯と日付
  • 相続放棄の理解度確認
  • 自発的な意思の確認
  • 放棄の意思確認

全ての確認が完了すると「相続放棄申述受理通知書」が発行されます。必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」の発行も可能です。

相続放棄申述書に関する一般的な疑問点について

相続放棄申述書の作成や提出に際して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

申述書の作成方法について

手書きでの作成が一般的で、最も確実な方法となっています。家庭裁判所が提供するPDFファイルを印刷して記入するのが標準的です。専門家へ依頼する場合は、専用システムを使用した作成も行われています。

印刷方法について

申述書は片面・両面のどちらの印刷方式でも受け付けられます。特別な規定はありませんので、どちらの形式でも問題なく提出できます。

代筆に関する規定について

基本的には申述者本人が記入することが原則となります。ただし、以下の条件を満たす場合は代筆が認められます。

  • 特別な事情がある場合
  • 本人の判断能力が十分である場合

ただし、認知症などで判断能力に不安がある場合は、代筆での申述は受理されませんのでご注意ください。

記入ミスの訂正方法について

申述書の記入ミスを修正する場合は、以下の手順に従って訂正を行います。

手順内容注意点
1誤記部分に二重線を引くきれいに見える程度の線で
2訂正印を押す認印で構いません
3正しい内容を記入空いているスペースに明確に

訂正に使用するペンの色は特に指定がないため、読みやすい色を使用すると良いでしょう。

まとめ

相続放棄申述書は、相続権を放棄する意思を示すための重要な法的書類です。申述書の作成には、被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所への提出が必要で、相続開始を知った日から3か月以内という期限があります。手続きには戸籍謄本などの必要書類の準備が欠かせませんが、申述書自体は一般的な様式で作られており、自身での作成が可能です。ただし、相続放棄は重要な判断となるため、必要に応じて専門家への相談をお勧めします。正確な情報を漏れなく記載し、定められた期限内に適切な手続きを行うことが重要です。

執筆者

Koh.W

Koh.W

専門分野: セールス及びマーケティング、不動産、ウェルネス

保有資格: MBA、宅地建物取引主任士

日米の上場企業でセールスやマーケティングの経験を持ち、現在はオーラルケアメーカー及びビジネスデベロップメント支援の会社を経営。自らもSEOライターとして活躍しており、特にセールス及びマーケティング、ビジネス、ウェルネスに関する記事作成に定評があります。多様な経験や知識を活かし、クライアント様にとって本当に価値のある製品やサービスを提供することをモットーにしています。

X (旧Twitter): @Koh_KODAWATARU
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