
大切な家族が亡くなると、悲しみと同時に相続手続きがスタートします。
遺産の分け方を決めたり相続税を払ったり、多くのことを限られた期間で行わなければいけません。
相続手続きの流れや必要書類がわからず、戸惑う方も多いでしょう。
そこで今回は、相続手続きの基本的な流れを解説します。
便利な必要書類一覧表もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
相続手続きの流れ

まずは相続手続きの基本的な流れをみていきましょう。
- 死亡届出書の提出
- 故人の戸籍謄本の取得
- 遺言書の確認
- 相続人の確定
- 相続人の戸籍謄本の取得
- 相続財産の調査と評価
- 相続の方法を決める
- 遺産分割協議
- 相続登記・名義変更
- 相続税の申告・納付
1.死亡届出書の提出
最初に「死亡届出書」を提出し、亡くなったことを自治体に届け出ます。
死亡届出書は、「死亡診断書(死体検案書)」と「死亡届」が1枚セットになっています。
死亡診断書(死体検案書)とは死亡の理由や日時を証明する書類のことで、医師が記入・押印します。
届出人が死亡届の部分を記入し、提出するのが一般的です。
誰が出すの?
届出人は以下のいずれかの人です。
- 家族・親族
- 後見人
- 同居人
- 土地や家屋の管理人
どこに出すの?
提出先は以下のいずれかの市区町村役所です。
- 故人の本籍地
- 亡くなった場所
- 届出人の住所地
故人の住所地ではない点にご注意ください。
2.戸籍謄本の取得
次に、故人の戸籍謄本を取得しましょう。
戸籍謄本とは、人が生まれてから亡くなるまでの親族関係などを記録したものです。
「戸籍全部事項証明書」ともいいます。
誰が請求するの?
戸籍謄本を請求できるのは以下のいずれかの人です。
- 配偶者
- 直系親族
- その他親族や弁護士などの代理人
直系親族とは、故人の両親や子ども、祖父母や孫など、家系図に書くと直線でつながる親族のことです。
どこに請求するの?
戸籍謄本の請求は、
- 故人の本籍がある市区町村役場
- 最寄りの市区町村役場
のどちらかに行います。
故人の本籍のある市区町村役場の場合、窓口でも郵送でも取得可能です。
しかし最寄りの市区町村役場や代理人が請求する場合、郵送は利用できません。
本籍地がわからないときは、故人の住所地において「本籍地を記載した住民票」を取得して確認しましょう。
3.遺言書の確認
続いて、遺言書を確認します。
遺言書には3種類あり、確認方法が異なります。
- 自筆証書遺言書
- 公正証書遺言書
- 秘密証書遺言書
自筆証書遺言書
自筆証書遺言書とは、故人が自分で書いた遺言書のことです。
仏壇や金庫など、故人が保管していそうな場所を探してみてください。
自筆証書遺言を見つけても、絶対にその場で開けてはいけません。
改ざんの疑いがあるとして、遺言書が無効になってしまいます。
未開封のまま家庭裁判所で検印の手続きをとり、検印証明書を取得しましょう。
故人が自筆証書遺言保管制度を利用していた場合は、法務局から通知が届きます。
公正証書遺言書
公正証書遺言書とは、公証人という公的な法律の専門家が遺言者の意思を確認して作成した遺言書のことです。
故人が公正証書遺言書を遺しているかどうかは、公証人役場にて無料で確認できます。
秘密証書遺言書
秘密証書遺言書とは、公証人が「遺言書が存在している」ことだけを認証した遺言書のことです。
こちらも公証人役場にて無料で確認できます。
4.相続人の確定
故人の戸籍謄本と遺言書を使って、誰が相続人になるのかを確定します。
相続人には2種類あります。
- 法定相続人
- 指定相続人
法定相続人
民法は故人の財産を相続する人を定めており、これを「法定相続人」といいます。
法定相続人と順位は次の通りです。
- 配偶者
- 子ども
- 直系尊属
- 兄弟姉妹
配偶者はどんな場合でも優先され、必ず相続人となります。
次に優先されるのは子どもで、配偶者とともに相続人となります。
直系尊属とは、故人の両親や祖父母など、家系図に書くと故人より上の位置になる人のことです。
直系尊属と兄弟姉妹は、故人に子どもがいない場合に限って相続人となります。
指定相続人
指定相続人とは、遺言書による相続人のことです。
故人が「この人に財産を遺したい」と遺言書に記載していた場合、法定相続人でない人も相続人となります。
5.相続人全員の戸籍謄本を取得
相続人全員の戸籍謄本を取得しておきましょう。
故人の戸籍謄本と同じく、本籍地や最寄りの市区町村役場で取得できます。
マイナンバーカードがあればコンビニでも取得可能です。
6.財産目録の作成
次に、故人が残した財産と負債を調査し、その評価を一覧にまとめて財産目録を作ります。
7.相続の方法を決める
相続には次の3つの方法があります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
故人の財産に応じて適切な方法を選ばないと、思わぬ借金を抱えたり損をしたりしてしまいます。
相続人全員でよく話し合って決めましょう。
単純承認
単純承認はいわゆる普通の相続で、故人のすべての財産を相続する方法です。
例えば故人に預金が500万円、借金が100万円あったとしましょう。
単純承認すると、相続人は500万円相続できるけれど100万円の借金返済義務も負うことになります。
限定承認
これに対して限定承認とは
、プラスの財産でマイナスの財産を精算して残りを相続する方法です。
先ほどの例でいうと、故人の預金から借金100万円を返済し、残りの400万円を相続します。
相続放棄
相続放棄とは、相続する権利をすべて放棄して相続人でなくなることです。
誰がどこで手続きするの?
単純承認の場合、手続きは不要です。
限定承認の場合、相続人全員で家庭裁判所に申述しなくてはいけません。
相続放棄の場合は1人で家庭裁判所に申述できます。
期限に注意
相続方法は、自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内に選ばなくていけません。
これを過ぎると自動的に単純承認になるため、特にマイナスの財産がある方は注意が必要です。
8.遺産分割協議
遺産分割協議とは、故人の財産を「誰が」「どのくらい」相続するのか決める話し合いのことです。
遺言書がある場合はそれに基づいて、ない場合や遺言書に異議がある場合には法定相続分や話し合いによって分割します。
相続人全員が納得すれば、遺産分割協議書を作成し署名・押印します。
法定相続分とは
民法は法的相続人の相続割合を下表のように定めており、これを「法定相続分」といいます。
相続人 | 配偶者の相続分 | 配偶者以外の相続人の相続分 |
配偶者と子ども | 1/2 | 1/2 |
配偶者と直系尊属 | 2/3 | 1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4 |
法定相続分はあくまでも目安で、話し合いや事情により変更可能です。
例えば生前贈与をしてもらった相続人や介護を担った相続人がいる場合、遺産分割協議によって相続分を減らしたり増やしたりすることが多いです。
9.相続登記・名義変更
遺産分割協議書通りに財産を分けていきます。
不動産の相続登記や金融資産の名義変更手続きを行いましょう。
10.相続税の申告・納付
最後に、相続税を税務署に申告し、納付します。
便利な必要書類一覧

基本的な相続において必要な書類を一覧にまとめました。
特に、期限の定めがある手続きに注意してください。
期限を過ぎると、別の手続きが必要になったり損をしたりします。
手続き名 | 必要書類 | 期限 |
1.死亡届の提出 | 死亡届出書届出人の印鑑後見人などの場合は関係を証明する書類 | 国内で死亡した場合:死亡の事実を知った日から7日以内 国外で死亡した場合:死亡の事実を知った日から3ヶ月以内 |
2.故人の戸籍謄本の取得 | 申請者の本人確認書類交付請求書(窓口やWEBダウンロード)手数料450円代理人が申請する場合は委任状郵送の場合は返信用封筒と切手 | |
3.遺言書の確認 | 遺言書検印証明書 | |
4.相続人の確定 | 故人の戸籍謄本遺言書 | |
5.相続人の戸籍謄本の取得 | マイナンバーカード本人確認書類交付申請書手数料450円(コンビニ取得の場合350円前後)代理人が申請する場合は委任状郵送の場合は返信用封筒と切手 | |
6.財産目録の作成 | 不動産登記簿謄本預貯金通帳証券会社の取引明細書その他財産を証明する書類 | |
7.相続の方法を決める | 申述書標準的な申立添付書類故人の戸籍謄本相続人の戸籍謄本収入印紙800円連絡用切手 など | 自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内 |
8.遺産分割協議 | 故人の戸籍謄本相続人の戸籍謄本財産目録生前贈与や寄与分の資料 など | |
9.相続登記・名義変更 | 相続登記申請書遺産分割協議書相続人全員の印鑑証明書財産目録故人と相続人の戸籍謄本 など | 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内 |
10.相続税の申告 | 相続税申告書故人と相続人の戸籍謄本相続した財産の目録や登記簿謄本葬儀代など支出の証明書類 など | 亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内 |
まとめ

基本的な相続手続きの流れと必要書類の一覧をご紹介しました。
相続ではたくさんの手続きや書類が必要で、提出先も異なります。
大切な家族を亡くした悲しみの中、手続きを進めていくのは大変です。
しかし期限が定められているものもあるため、スピードも大切。
ぜひこの記事を参考に、確実に相続手続きを完了させましょう。