SNSアカウントの遺品整理方法

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遺品整理において、デジタル遺品をどうするかが注目されています。現代社会において、故人がスマートフォンやパソコンを所有していたケースは少なくありません。さらに、SNSアカウントを所有していたというケースもあり、どのように扱うかは遺族にとって大きな課題となります。本記事では、デジタル遺品の整理方法について、SNSアカウントに焦点を当てて解説します。

目次

デジタル遺品とは?

デジタル遺品とは、亡くなった方が遺したデジタルデータのことです。

スマートフォンやパソコンの中の画像や動画、メールなどが代表的です。他にも、オンラインサービスやアカウントなども含まれ、SNSアカウントもデジタル遺品に該当します。

故人のSNSアカウントについて

ユーザーの方が亡くなった後のSNSアカウントは、何もしなければそのまま放置された状態になります。

故人のアカウントを放置しても、特に問題ない場合もあります。しかし、悪意を持った第三者がなりすましを行うと、まるで故人が投稿したかのようにされてしまいます。投稿の内容によっては、故人の名誉を傷つける場合があります。他にも、悪意のあるユーザーによってコメント欄が荒らされる可能性もあります。また、亡くなったことを知らないユーザーからコメントが届くことも考えられます。故人のSNSアカウントを放置していると、遺族にとって精神的な負担が増える可能性があるのです。

対策としては、故人の遺族である近親者の方がアカウントを削除する、という方法があります。

他にも、SNSによっては「追悼アカウント」に移行するというサービスを利用することもできます。

ご遺族の方であっても、故人のSNSアカウントに勝手にログインすることは、利用規約違反になるので注意が必要です。

次の章からは、どのように遺品整理を行えば良いのかを解説します。

Facebookの場合

Facebookは若い方だけでなく、シニア層の方の利用も増えています。

そのため、Facebookのアカウントがデジタル遺品になるケースは珍しくありません。Facebookのアカウントの遺品整理としては、アカウントの削除か追悼アカウントへの移行のどちらかを選ぶのが一般的です。

アカウントの削除

Facebookは実名での登録する方が多いため、ユーザーの個人情報が分かりやすく含まれています。

個人情報が含まれているアカウントを放置すると、不適切に取り扱われてプライバシーの侵害につながる可能性があります。また、ハッキングの対象となるリスクもあります。他にも、故人のアカウントが残っていることで、遺族や故人と親しかった方にとっては苦痛になるケースも考えられます。

アカウントの「削除リクエスト後、一定期間(通常14〜30日)で削除が完了します。

アカウントを削除することで、故人のプライバシーが保護されることは大きなメリットです。

一方で、故人が投稿した画像やメッセージなどは消去されてしまいます。プライバシーが守られる一方で、故人とのつながりを失うのが辛いと感じる方もいるでしょう。

追悼アカウントへの移行

アカウント削除以外に、追悼アカウントに移行するという選択肢があります。

追悼アカウントとは、ユーザーが亡くなった後に、家族や友達などが集い、故人の思い出をシェアするためのアカウントです。

追悼アカウントは、ユーザーが生前に対策を行うことができます。

たとえば、生前に追悼アカウントを管理する管理人を指定する、という方法があります。管理人は、友人リクエストの応答や、プロフィールの画像の変更などを行うことができます。管理人が指定されていれば、その方が申請を行うだけで、追悼アカウントへの移行が完了します。ただし、過去の投稿の編集や、既存の友人を削除することはできません。

追悼アカウントの管理人を指定していない場合は、Facebook上で移行申請を行う必要があります。

移行する際には、故人の名前と亡くなった日、死亡を証明する書類(任意)が必要です。亡くなった日が不明の場合は、おおよその日付でも大丈夫です。管理人が指定されていない場合、移行申請を行うことができるのは近親者のみとなっています。

Instagramの場合

Instagramのアカウントは、アカウントの削除か、追悼アカウントへの移行のどちらかになります。

以下で、2つの遺品整理方法について解説します。

アカウントの削除

故人の近親者に限り、故人のアカウントの削除をリクエストすることができます。

削除リクエストを送信するためには、近親者であることを証明するための書類が必要です。具体的には、故人の出生証明書、故人の死亡証明書。故人の法定代理人であることを証明できる書類などです。

削除リクエストは、Instagramで専用のフォームに記入することで、申請することが可能です。

追悼アカウントへの移行

Facebookと同様に、Instagramでも追悼アカウントへの移行を行うことが可能です。

追悼アカウントは故人を偲ぶことを目的としているので、ログインすることはできません。

追悼アカウントに移行すると、プロフィールにあるアカウントの所有者の名前の横に「追悼」と表示されるようになります。故人が生前投稿していた写真や動画などは、それをシェアしていたユーザーは引き続き閲覧することができます。

追悼アカウントに移行すると、アカウントの投稿や情報の変更は不可能になります。

故人がプロフィールに追加した写真や動画、故人が投稿に行ったコメント、故人のフォロワーなどの変更はできません。また、追悼アカウントは、検索表示が制限されることがありますが、完全に非表示とは限りません。

追悼アカウントをリクエストするためには、削除と同様に、Instagramの専用フォームに入力してリクエストを行います。

X(旧Twitter)の場合

Xの場合はFacebookやInstagramと違って、追悼アカウントへの移行機能は提供されていません 。

そのため遺品整理の方法としては、アカウント削除が一般的になります。削除の申請は、ご遺族である近親者の方からのリクエストが必要です。

LINEの場合

LINEのアカウントは、個人専用で他人に引き継ぐことはできません。

「一身専属」とは、民法における法律用語です。権利や義務が特定の人物に帰属し、他の者に移転しない性質を持っています。代表的なのは慰謝料請求権や、扶養請求権です。一身専属の性質を持つ物は、譲渡や相続の対象にはならず、差し押さえをすることはできません。

LINEにおける一身専属とは、アカウントの利用者だけがそのアカウントを利用することができる、という意味です。他人が取得、行使などをすることはできません。つまり、故人の近親者であっても、アカウントを引き継ぐことはできないのです。一身専属は、故人の権利を守るためだけでなく、故人と生前LINEでつながっていた他の方々のプライバシーを守ることにもつながります。

FacebookやInstagramと異なり、追悼アカウントのサービスは存在しません。遺品整理を行う場合は、原則としてアカウントの削除申請を行います。LINE宛に、問い合わせフォームから削除依頼を行う必要があります。

アカウントを削除しても、自分のスマートフォンに届いた故人からのメッセージは残ります。トーク履歴は亡くなった方との大切な思い出となりますので、念のためバックアップをとっておくと良いでしょう。

まとめ

故人のSNSアカウントは、放置すると悪用されるケースが少なからずあります。そのため、アカウントの削除申請を行うか、可能であれば追悼アカウントに移行することになります。SNSアカウントの遺品整理を適切に行うことで、故人の名誉や、ご遺族の方々のプライバシーを守ることにもつながります。この記事を読んで、デジタル遺品の整理の参考にしていただければ幸いです。

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