
現代日本では、高齢化の進展とともに医療費の増加が社会的な課題です。風邪や軽い体調不良で医療機関を受診することが日常化すると、医療現場の負担は増えて、将来的には、国民一人ひとりの医療費負担にも影響します。
そのような中で、自身の健康を日常的に管理しつつ、節税にもつなげられる仕組みとして注目されているのが「セルフメディケーション税制」です。身近な市販薬を賢く活用することで、健康維持だけでなく、将来の医療費や家族への負担軽減にも役立つこの制度の基本と活用方法を、FPの視点から、わかりやすく解説します。
セルフメディケーション税制とは

日本では、医療費の増加が深刻な社会問題です。個人の生活だけでなく、国の財政にも大きな影響を及ぼしています。厚生労働省の統計によると、2022年度の国民医療費は約47兆円に達しており、これは過去最高水準になります。特に、高齢化が進む日本社会においては、医療費は今後も増加傾向が続くことが予想されています。政府にとっても国民にとっても、持続可能な医療制度の構築が大きなテーマです。
このような背景のもと「セルフメディケーションの推進」が、重要な政策の一つとして進められています。セルフメディケーションとは、軽度な体調不良に対して、自己判断で適切に対応することで、病院に行く必要のある症状なのかを見極める健康管理の考え方です。
たとえば、風邪の初期症状や軽い頭痛、花粉症、胃もたれなどの日常的な体調不良に対して、市販薬や生活習慣の改善などを通じて、自身で対処することを指します。
この取り組みを促進するために導入されたのが、2017年に開始された「セルフメディケーション税制」です。この制度は、従来の医療費控除とは異なり、病院に行かずに購入した対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)にかかる費用の一部を、所得控除として、税金の計算上控除できるという仕組みです。
つまり、軽い体調不良に自身で対応している人に対して、税制上のメリットを与えています。国民のセルフメディケーションの実践を後押しする制度なのです。
セルフメディケーション税制が導入された社会的な背景

日本では高齢化が進むとともに、医療費は年々増加しており、国の財政負担は非常に大きくなっています。このような重要な課題に対処するため、セルフメディケーション税制は、次の3つの目的を持って設計されました。
- 医療費の適正化
軽症患者が医療機関に集中することを抑えることで、医療資源をより効率的に活用できます。これにより、国民医療費の増加を抑制して、持続可能な医療制度の構築につながります。軽症の段階で自己管理を行う習慣が定着することで、症状の重症化を防いで、将来的な医療費削減になるのです。
- 一人ひとりの健康意識の向上
セルフメディケーション税制は、単に市販薬を購入することを奨励するだけではありません。健康診断や予防接種などの日常的な健康管理の習慣化を条件としており、個人が主体的に健康状態を把握することを促します。定期的に健診を受けたり、予防接種を行ったりすることで、病気の早期発見や重症化防止につながります。
- 医療機関の負担軽減
軽症患者の医療機関への受診を減らすことで、医療従事者の負担が軽減されます。これにより、より重症な患者への診療や、緊急対応に集中できる環境が整うのです。医療現場全体の効率化につながります。特に、休日や夜間の救急外来などでの軽症患者対応が減ることは、医療従事者の労働環境改善にもつながります。
| 項目 | ポイント | 効果 |
| 医療費の適正化 | ・軽い症状の人が病院に集中しないようにする ・医療資源(人・お金・時間)を無駄なく使う | ・医療費の増加を防ぐ ・自身で体調管理をする習慣が育ち、重症化を防ぐ |
| 健康意識の向上 | ・市販薬を使うだけでなく、健康診断や予防接種を習慣にする ・自身の健康状態を知ることを勧める | ・病気の早期発見・重症化防止ができる ・生活習慣病などの予防につながる |
| 医療機関の負担軽減 | ・軽症患者が減ることで、医療現場の負担が軽くなる ・医師や看護師が、重症患者に専念できる | ・医療の効率アップ ・医療従事者の働きやすさが向上する |
制度を利用できる対象者の条件

セルフメディケーション税制を利用するには、2つの条件を満たさなければなりません。この制度は、単に市販薬を購入しただけでは利用できず、個人が日常的に健康管理に取り組んでいることが前提になります。
健康管理に取り組んでいること

まず一つ目の条件は、利用者本人が健康管理に積極的に取り組んでいることです。この制度は、軽症時に自己判断で市販薬を使うだけでなく、日常的な健康チェックや、病気予防の習慣化を促すことを目的としています。具体的には、次のいずれかの取り組みをその年に行っていることが必要です。
- 勤務先の定期健康診断
会社員であれば、毎年実施される定期健康診断の結果通知書を証明書類として、活用できます。コピーを保管しておくと、申告時にスムーズです。 - 特定健康診査(メタボ健診)
生活習慣病のリスク評価を目的とした健診で、医療費控除との連動も可能です。 - がん検診(胃・大腸・乳・子宮頸など)
国や自治体が実施するがん検診も条件に含まれます。早期発見の意識向上にもつながります。 - 予防接種(インフルエンザ、風しん、コロナワクチンなど)
季節性の予防接種や感染症対策のための接種も対象です。領収書や接種証明書を保管するのがおすすめです。 - 市区町村が実施する健康診査や人間ドック
自治体や医療機関が提供する健診サービスも対象です。人間ドックの結果通知書を、提出することで条件を満たせます。
セルフメディケーションの取り組みを証明するためには、健診結果通知書や予防接種の領収書、自治体の健康診査証明書などの書類を添付、または提示する必要があります。日常生活で必要書類を整理しておくことで、確定申告の際の手続きが煩雑化しないでしょう。
参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
対象医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入していること
セルフメディケーション税制を利用するもう一つの条件は、厚生労働省が指定するスイッチOTC医薬品を購入していることです。この制度では、単に市販薬を購入しただけでは、控除を受けることはできません。対象薬は、安全性が確認されて、自己判断で使用できる範囲に限定されています。
スイッチOTC医薬品は、もともと医師の処方が必要だった薬が、一般の薬局やドラッグストアで購入できるようになったものです。医薬品を購入する際には、レシートや購入記録の保存が重要です。多くの場合、レシートには対象商品であることを示す印(★や※など)が付けられています。
確定申告で控除を受ける際には、このレシートを証拠書類として添付する必要があります。普段から購入記録を整理しておくことで、申告手続きをスムーズに進められます。また、対象医薬品は、毎年見直されており、厚生労働省の公式サイトで、最新リストが公開されています。購入対象を限定することで、軽症時のセルフケアを促進して、医療費の適正化や医療現場の負担軽減といった、社会的課題にもつながる仕組みなのです。
対象の商品の見分け方

セルフメディケーション税制の対象となるスイッチOTC医薬品は、購入時に比較的簡単に見分けられます。
- パッケージ表示を確認する
対象薬には、パッケージに特定の表示が付いています。「セルフメディケーション税控除対象」「スイッチOTC」メーカーによっては、「SM制度対象」と表記される場合もあります。
- レシートの印を確認する
購入時のレシートにも、対象商品なのかを示す印が付いています。代表的なものには、「★」「※」「SM」などがあります。レシートは確定申告時の証明書類として必要になるため、必ず保管しておきましょう。まとめて買い物をする際には、どの商品が対象なのかを購入時にチェックして、レシートに印が付いているかを確認することが大切です。
- 電子レシートにも対応
近年は、電子レシートを利用する店舗も増えていますが、電子レシートでも対象商品が明記されていれば、控除申請に使用可能です。スマートフォンで管理できるため、紙のレシートを紛失する心配がなく、年間の購入記録を効率よく整理できます。
セルフメディケーション税制の商品購入時の注意点

セルフメディケーション税制の対象商品は、毎年厚生労働省の公式サイトで、最新リストが更新されます。そのため、購入する前には、必ず最新の情報を確認することが重要です。対象商品なのかを確認せずに購入してしまうと、確定申告で控除を受けられない場合があります。
また、年末にまとめて購入したり、複数の商品をまとめ買いすることは便利ですが、その際もレシートや電子購入記録が、しっかり揃っているのかを確認しましょう。控除を受けるためには、購入の証明となる書類の保管が不可欠になります。
また、同じ症状に効く薬であっても、対象外の商品は控除の対象になりません。購入時には、必ずパッケージやレシートに表示されている「セルフメディケーション税控除対象」「スイッチOTC」といった表示を確認してください。
対象薬を購入する際には、パッケージ表示・レシート・購入記録の3点を意識するだけでも、トラブルが防止できます。日常生活の中で少し意識するだけで、健康管理の習慣化と税制メリットの両方を活かすことができるのが、セルフメディケーション税制の大きな魅力です。
セルフメディケーション税制の控除の仕組み

セルフメディケーション税制では、年間で購入した対象医薬品の合計額が12,000円を超えた部分が所得控除の対象となります。控除額の計算式は以下の通りです。
控除額 = (年間対象医薬品購入額 - 12,000円)※上限88,000円
たとえば、1年間に対象薬を合計で30,000円購入した場合は、30,000円 − 12,000円 = 18,000円が控除額となります。控除額がそのまま現金として返ってくるわけではありませんが、課税所得が減少することによって、所得税や住民税の負担が軽減されます。
具体的な節税効果をイメージすると、課税所得に対する税率が10%の人であれば、控除額18,000円に対して約1,800円の所得税軽減が見込めます。住民税も同様に控除が適用されるため、トータルで約3,600円ほどの節税効果となります。税率が高い人や、年間購入額が多い人であれば、さらに節税効果は大きくなるでしょう。
控除額の計算例

たとえば、年間に5万円分の対象医薬品を購入した場合を考えてみましょう。
50,000円 − 12,000円 = 38,000円
この38,000円が、課税所得から差し引かれる金額(=控除額)です。控除とは、支払う税金がそのまま減るわけではなく、課税の対象となる「所得金額」を減らす仕組みです。たとえば、所得税率が10%、住民税率が10%の人であれば、次のような節税効果が得られます。
- 所得税の軽減額:38,000円 × 10% = 3,800円
- 住民税の軽減額:38,000円 × 10% = 3,800円
合計でおよそ7,600円の節税効果が見込めます。
この例からもわかるように、日常的に軽症の症状を自己管理して薬を購入している人にとって、無理なく節税につながる仕組みとなっています。また、控除額の計算は上記のようにシンプルで、年間の対象薬の購入総額を、基準額12,000円から差し引くだけで済みます。セルフメディケーション税制は、手軽に利用できる点がメリットです。
| 計算例 | 内容 |
| 年間の対象医薬品購入額 | 50,000円 |
| 控除基準額 | 12,000円 |
| 控除額(課税所得から差し引かれる額) | 50,000円 − 12,000円 = 38,000円 |
| 所得税率 | 10% |
| 住民税率 | 10% |
| 所得税の軽減額 | 38,000円 × 10% = 3,800円 |
| 住民税の軽減額 | 38,000円 × 10% = 3,800円 |
| 節税効果の合計 | 約 7,600円 |
| 特徴・ポイント | 控除額は課税所得を減らす仕組みであり、直接返金はされないが、税負担が軽くなる。軽症の自己管理にも適した制度で、計算や申請が簡単。 |
申告の手順

セルフメディケーション税制を利用して控除を受けるには、確定申告が必要です。日常的に購入している薬や健康管理の記録をきちんと整理しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
- 必要書類を揃える
まず、控除を申請するために必要な書類を準備します。主な書類として、まずは、対象医薬品のレシートです。複数回に分けて購入した場合は、年間の合計金額が分かるように整理しておくと便利です。
また、健康管理の取り組みを証明する書類も用意してください。勤務先の定期健康診断結果、特定健康診査(メタボ健診)、がん検診の通知書、予防接種の領収書、市区町村の健康診査や人間ドックの受診証明などが該当します。
- 書類を整理する
購入した薬のレシートや健診・予防接種の証明書は、年度ごとにまとめて保管しておくと便利です。レシートの紛失を防ぐために、電子レシートや写真で記録しておく方法も有効です。特に年末にまとめて購入する場合は、レシートが一枚ずつ揃っているかを確認しておきましょう。
- 確定申告書に記入する
確定申告書の「医療費控除」欄に、対象医薬品の年間購入額を記入します。控除額は、年間購入額から基準額12,000円を差し引いた金額です。控除額の上限は88,000円なので、それ以上の購入額は、控除対象にならない点に注意してください。
- 申告方法
確定申告は、紙の申告書でも、e-Tax(電子申告)でも提出可能です。e-Taxを利用すれば、税務署に出向くことなく自宅から手続きできます。
- 医療費控除との併用は不可
セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除と併用することはできません。医療費控除を利用した方が控除額が大きい場合は、医療費控除を優先することになります。どちらの制度を利用する方が有利なのかを、事前に確認しておくと安心です。
| 手順 | 内容 | ポイント |
| ① 必要書類を揃える | ・対象医薬品のレシート →「セルフメディケーション税控除対象」または「スイッチOTC」と明記されている ・健康管理の取り組みを証明する書類 → 健康診断・予防接種・がん検診・特定健診などの結果や証明書 | ・年間購入額を集計しておく ・健康管理の実績がないと申請不可 |
| ② 書類を整理する | ・薬のレシートや健診証明書を年度ごとにまとめて保管 ・電子レシートや写真で記録してもOK | ・紛失防止対策を行う ・年末購入分のレシートも要確認 |
| ③ 確定申告書に記入 | ・「医療費控除」欄に年間購入額を記入 ・控除額=年間購入額 − 12,000円(上限88,000円) | ・88,000円を超える金額は控除対象外 |
| ④ 申告方法 | ・紙の申告書または e-Tax(電子申告) で提出可能 | ・e-Tax利用で自宅から申請可・税務署に行く必要なし |
| ⑤ 医療費控除との併用不可 | ・医療費控除とセルフメディケーション税制は同時適用不可 | ・どちらを使うか事前比較を推奨(控除額が大きい方を選択) |
セルフメディケーション税制のメリットと注意点

セルフメディケーション税制を活用することで得られるメリットと、利用する際に注意すべきポイントを整理しておきましょう。
セルフメディケーション税制を活用するメリット
- 少ない負担で所得税・住民税の節税が可能
課税所得が減少して、所得税・住民税の負担を軽減できます。少額の購入でも控除の対象となるため、無理なく節税できる点がメリットです。
- 健康管理への意識向上
この制度を利用するには、健康診断や予防接種など、日常的な健康管理の実施が前提条件となります。控除を受けるために、健診やワクチン接種を意識することで、自然と健康への関心や習慣が高まり、病気の早期発見や予防にもつながります。
- 軽症患者の医療機関受診抑制による医療費の適正化
軽い風邪や頭痛、花粉症などの症状を自己管理することで、病院を受診する必要がないケースが増えます。国民全体の医療費の削減効果や、医療現場の負担軽減にも貢献できます。
セルフメディケーション税制の注意点
- 自己判断で使用するため、副作用や重症化リスクに注意
スイッチOTC医薬品は、安全性が確認されている薬ですが、人によっては、副作用が出たり症状が悪化したりする場合があります。服用する際は、体調の変化に注意することが大切です。
- 長引く症状や不安な症状は、必ず医療機関を受診
軽症と思って自己判断で薬を使用しても、症状が長引いたり重くなったりする場合があります。自己判断に頼りすぎず、必要な場合は、医療機関で適切な診断を受けることが重要です。
- レシートの紛失に注意
控除を受けるためには、対象薬の購入を証明するレシートや電子レシートが必須です。紛失すると、確定申告で控除を受けられなくなるため、購入時に整理・保管する習慣をつけておくと安心です。また、電子レシートを活用すると、紙の紛失リスクを減らしつつ、年間購入額の集計も簡単に行えます。
このように、メリットと注意点を整理して理解しておくことで、安全に制度を活用しながら、健康管理と節税を同時に実現できるでしょう。
| セルフメディケーション税制の注意点 | 説明 |
| 副作用や症状悪化のリスク | スイッチOTC医薬品は安全性が高いが、体質や体調により副作用や症状の悪化が起こる可能性がある。服用中は体調の変化に注意が必要。 |
| 長引く症状や不安な場合 | 症状が改善しない、または悪化する場合は自己判断せず、すぐに医療機関を受診することが重要。 |
| レシートの保管 | 控除申請には購入証明のレシートや電子レシートが必須。紛失すると申請できなくなるため、購入後の整理・保管が大切。 |
| 電子レシート活用 | 紙の紛失リスクを減らし管理を効率化するため、電子レシートも控除申請に利用可能で便利。 |
| 薬の使用方法の確認 | 用法・用量を守り、同じ成分の薬の併用や長期使用は避ける。自己判断の過剰使用は副作用や病状悪化のリスクがあるため、必要に応じて、薬剤師や医師に相談することが望ましい。 |
参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制に関する Q&A https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001461529.pdf
デジタル遺品業者の活用で健康情報も将来資産も安心管理

セルフメディケーション税制や日々の健康管理で得られる情報は、単なる個人の記録にとどまらず、将来的に自身や家族にとって重要な資産となります。たとえば、健診結果、予防接種の証明書、医療費の領収書、健康アプリのデータなどは、長期的に見ると医療費控除や税制メリットにもつながる貴重な情報です。
しかし、紙の書類やスマホ・PC内の散在するデータは整理が難しく、万一の場合に、家族が確認できないことも少なくありません。こうしたデジタル情報を一元管理して、将来に備える方法として、注目されているのがデジタル遺品業者の活用です。
デジタル遺品専門業者は、スマートフォンやPC内の健康関連データ、電子マネーやポイントサービスの履歴、オンライン口座情報などを整理して、安全に保管・管理します。万が一の場合でも、家族が簡単に必要な情報にアクセスできるため、相続や資産管理のトラブルを未然に防げます。
また、デジタル遺品業者を活用することは、健康管理そのものにもメリットがあるでしょう。定期的にデータを整理する過程で、自身の医療費や健康状態が把握できます。より効果的な生活習慣の改善や、医療費の節約にもつながります。日常の健康管理と税制メリットだけでなく、将来的な家族の安心や財産管理も見据えた、現代ならではの賢い対策です。
セルフメディケーション税制とデジタル遺品データの関係
セルフメディケーション税制では、対象医薬品の購入履歴や健診・予防接種の記録が控除申請のために必要です。しかし、紙のレシートや健診通知書をそのまま保管しておくと、紛失や破損のリスクがあります。ここで役立つのがデジタル遺品業者です。専門業者は、スマートフォンやPC、クラウドサービスに散在する医療・健康データを整理して、安全に保管するサービスを提供します。これにより、控除申請に必要な情報を簡単にまとめられるだけでなく、長期的に健康管理の記録を残せます。
健康データをデジタル遺品として整理するメリット
医薬品購入履歴や健診結果、予防接種の記録などは、将来的に家族が確認したい大切な情報です。デジタル遺品業者を活用することで、このような情報を安全に整理・保管できるため、家族が困ることなく必要なデータにアクセスできます。また、自分自身の健康傾向を振り返り、日々のセルフメディケーションの効果を確認することにもつながります。
医薬品購入履歴の保存方法とデジタル遺品業者の活用

セルフメディケーション税制で控除対象となるスイッチOTC医薬品は、毎年購入履歴を集計しなければなりません。紙のレシートだけでなく、電子レシートやアプリの購入履歴も対象となる場合がありますが、複数の端末やサービスに情報が分散していると整理が大変です。デジタル遺品業者は、このような情報を一元化して、証拠として確定申告に使用できる形式にまとめてくれます。これにより、年間購入額の計算や控除申請がスムーズになり、漏れやトラブルを防げるでしょう。
生前整理で備える「健康情報の相続」
セルフメディケーション税制の活用は、自身の健康管理だけでなく、将来的な家族の負担軽減にもつながります。健診結果や予防接種の履歴、医薬品の使用履歴を整理しておくことで、家族が医療情報を把握して、適切な判断を行えます。デジタル遺品業者を活用すると、このようなデータを安全に整理して、生前整理の一環として管理できるのです。
セルフメディケーション税制の控除申請をスムーズにするデジタル管理
控除申請に必要な情報は、年ごとにまとめておきましょう。デジタル遺品業者を活用することで、医薬品の購入履歴や健診結果、予防接種の証明書をデジタル化して一括管理できるため、確定申告の際に必要書類を探す手間が大幅に減ります。電子レシートやアプリのデータを整理する作業は、個人で行うと手間がかかります。しかし、専門業者が代行することで、確実かつ効率的に管理できます。
医療・健康データも「デジタル資産」として管理する時代
現代では、健康情報や医療費の領収書も、将来に向けた資産の一部と考えられます。デジタル遺品業者を活用することで、これらの情報を安全に保管して、必要に応じて家族や相続の手続き体制も整えられます。日々のセルフメディケーションの積み重ねをデータとして残すことで、健康管理の成果を「見える化」できるのです。将来の相続や税制対策にも役立つ、現代ならではの賢い方法です。
| デジタル遺品業者との関係性 | 内容 |
| セルフメディケーション税制の健康情報 | 健診結果、予防接種証明、医療費領収書、健康アプリデータは、税制メリットや医療費控除のための重要な情報。 |
| 情報整理の課題 | 紙の書類やスマホ・PCのデータが散在し、紛失や確認困難のリスクがある。 |
| デジタル遺品業者の役割 | スマホ・PC・クラウドの健康・医療データや電子マネー履歴を一元管理し、安全に保管。家族が情報にアクセスしやすく、相続・資産管理のトラブル回避に有効。 |
| 健康管理面の利点 | データ整理により、自身の医療費や健康状態を振り返りやすくなり、生活習慣改善や医療費節約に役立つ。 |
| 購入履歴管理 | 複数のレシートやアプリの購入履歴をまとめて管理でき、確定申告もスムーズに。 |
| 生前整理と相続準備 | 健診・予防接種歴や薬履歴を整理することで、万一の際の家族負担軽減や医療情報把握がしやすくなる。 |
| 現代的資産管理 | 医療・健康データも資産としてデジタル管理し、将来の相続や税制対策に役立つ。 |
まとめ

セルフメディケーション税制は、日々の健康管理と節税を両立できる制度です。軽症の体調不良を自己管理しつつ、定期的な健康診断や予防接種を習慣化することで、自身の健康を守り、医療費の負担を抑えられます。活用のポイントは、対象医薬品の購入記録やレシートを整理して、年間の購入額を把握すること、そして健診や予防接種を継続して行うことです。
これにより、確定申告で無理なく控除を受けられます。所得税・住民税の節税にもつながります。何より、この制度は単なる節税手段ではなく、自身の健康と将来の医療費を賢く管理するためのサポートです。日常生活の中で少し意識を変えるだけで、健康維持と経済的メリットの両方を手に入れられるでしょう。
この記事の監修者

石坂貴史
マネーシップス運営代表・FP
証券会社IFA、2級FP技能士、AFP、マネーシップス運営代表者。デジタル遺品や相続をはじめとした1,100件以上のご相談、記事制作、校正・監修を手掛けています。金融や経済、相続、保険、不動産分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

