相続税対策にもなるデジタル資産整理|把握されていない資産のリスク

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「ネット証券の株や暗号資産も、相続税の対象になるの?」

そう疑問に思ったことはありませんか。

私は介護福祉士として15年以上、高齢者やそのご家族と接してきました。あわせてFP3級を取得することで、お金や相続に関する知識を深めてきました。
近ごろ強く感じるのは、スマホの中にある「デジタル資産」が、相続のときに大きな落とし穴になるということです。

ネット銀行、ネット証券、暗号資産。これらは目に見えないため見落とされがちですが、れっきとした相続財産であり、相続税の対象になります。
そして、元気なうちに整理しておくことが、家族の負担を減らし、結果的に相続税対策にもつながります。

この記事では、デジタル資産の整理がなぜ相続税対策になるのかを、現場とFPの両方の視点から、わかりやすくお伝えします。

目次

そもそも「デジタル資産」とは?相続税がかかるもの

お金を計算する女性

デジタル資産とは、インターネット上で管理する、お金の価値があるもののことです。

相続税(亡くなった人の財産を引き継ぐときにかかる税金)は、「経済的な価値があるもの」すべてにかかります。形があるかどうかは関係ありません。
代表的なデジタル資産を挙げてみます。

  • ネット銀行の預金
  • ネット証券の株式・投資信託
  • 暗号資産(ビットコインなど)
  • FX口座の証拠金
  • 電子マネーの残高(サービスによる)
  • NFTなどの新しい資産

これらはすべて、亡くなった時点の価値で評価され、相続税の課税対象になります。
通帳や郵便物が届かないため、家族が「存在すら知らない」ことも多く、ここに大きなリスクがあります。
※評価方法は資産の種類によって異なり、上場株式は死亡日や前後の終値を基準に算出されるなど、細かいルールがあります。

なお、相続税は、財産の合計が「基礎控除」を超えた場合にかかります。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。デジタル資産も、この合計に含めて考える必要があります。

なぜ「デジタル資産整理」が相続税対策になるのか

電卓+確定申告書類

結論からお伝えすると、デジタル資産を整理しておくことで、余計な税金やトラブルを防げるからです。
ここでは、デジタル資産の整理が相続税対策になる3つの理由を見ていきます。

理由①:申告漏れによる「追徴課税」を防げる

いちばん怖いのが、申告漏れです。

家族がデジタル資産の存在に気づかないまま相続税を申告すると、あとから財産が見つかったときに「申告漏れ」となります。
その場合、本来の税金に加えて、過少申告加算税や延滞税といったペナルティがかかります。

「ネット上だから税務署にはわからない」と考えるのは危険です。
税務署は、金融機関や証券会社への調査・照会を通じて、申告されていない口座や資産の存在を把握することがあります。「ネット上だからわからないだろう」という認識は危険です。
デジタル資産は、紙の通帳のように「ここにある」と目に見える形では残りません。
だからこそ、本人が元気なうちに書き出しておくことが、いちばん確実な方法です。
生前にリスト化しておけば、家族は正確に申告でき、余計な税金を払わずに済みます。

理由②:評価額の急な変動に備えられる

特に暗号資産は、注意が必要です。

暗号資産は、亡くなった日の時価(その時点の市場価格)で評価されます。
買ったときの金額を差し引くことはできないため、値上がりしているほど、相続税の評価額も高くなります。

さらに、暗号資産の売却益は「雑所得」として扱われるため、相続税を支払った分を譲渡時の税負担から軽減できる『取得費加算の特例』の対象になりません。そのため、相続税と売却時の所得税が重なり、手元に残るお金が大きく減ってしまう場合もあります。
生前に把握しておけば、売却や現金化のタイミングを家族と相談でき、こうした事態に備えられます。

たとえば、コツコツ買っていた暗号資産が、亡くなる前に大きく値上がりしていたとします。
ご家族は、その高い評価額に対して相続税を納めなければなりません。
ところが、いざ売ろうとすると価格が下がっていて、税金を払うと手元にほとんど残らなかった——そんなケースもあります。

理由③:納税資金と遺産分割の準備ができる

相続税は、原則として現金で一度に納める必要があります。

ところがデジタル資産は、すぐに現金化できるとはかぎりません。
口座やパスワードがわからなければ、解約や売却の手続きに何ヶ月もかかることがあります。

事前にどこに何があるかを整理しておけば、納税資金の準備がしやすくなります。
誰が何を相続するかという話し合い(遺産分割)も、スムーズに進みます。
特に、すぐ使える現金が少ないご家庭ほど、納税のお金の準備は早めにしておくと安心です。

今日からできるデジタル資産整理の3ステップ

手帳+スマホ

「難しそう」と感じるかもしれませんが、やることはシンプルです。
今日からできる3つのステップを紹介します。

ステップ1:保有するデジタル資産を洗い出す

まずは、自分が持っているデジタル資産を紙に書き出してみましょう。
ネット銀行、証券口座、暗号資産、電子マネーなど、思いつくものを並べるだけで十分です。

ステップ2:評価額や取引先を記録する

次に、それぞれの「だいたいの金額」「取引している会社名」「連絡先」を記録します。
ただし、パスワードそのものを同じ場所に書くのは、防犯の面でおすすめできません。
パスワードは別に管理し、「ありか」だけを家族に伝えておくと安心です。
金額は、正確でなくても大丈夫です。「おおよそ」をつかんでおくだけでも、いざというとき家族が動きやすくなります。

ステップ3:家族や専門家と共有する

最後に、その情報を信頼できる家族に伝えておきます。
金額が大きい場合や、暗号資産のように評価が難しい場合は、税理士やFPなどの専門家に早めに相談するのが安心です。

介護とお金の現場から伝えたいこと

3人で書類を見て相談

最後に、現場で15年以上過ごしてきた私が、いちばんお伝えしたいことがあります。
それは、整理は「元気な今」しかできないということです。

年齢を重ねると、誰にでも判断力が衰える可能性があります。
認知症が進むと、口座の存在やパスワードを思い出すことも、新しく整理することも難しくなります。

私が関わってきたご家族にも、「もっと早く一緒に確認しておけばよかった」と悔やまれる方が少なくありませんでした。
お金のことは後回しにされがちですが、判断できる今だからこそ、落ち着いて準備ができます。

私が以前お会いしたある方も、ネット証券でコツコツ資産を増やしていました。
ですが、そのことをご家族には話していませんでした。
体調を崩して入院されたあと、ご家族は口座の存在に気づけず、手続きにとても苦労されていました。
「元気なうちに、ひとこと聞いておけばよかった」とおっしゃっていたのが、今も忘れられません。

まとめ

デジタル資産の整理は、家族を守り、相続税の負担も抑える「かしこい終活」です。

ネット銀行も、ネット証券も、暗号資産も、すべて相続税の対象です。
放置すれば、申告漏れや想定外の高額納税、現金化の遅れといった問題が、家族にのしかかります。

だからこそ、元気な今のうちに、

  • 保有するデジタル資産を洗い出す
  • 評価額や取引先を記録する
  • 家族や専門家と共有する

この3ステップから始めてみてください。

「自分だけでは不安」「何から手をつければいいかわからない」という方は、デジタル終活を専門にサポートするサービスに相談するのもおすすめです。
専門家と一緒に進めれば、見落としもなく、税金の面でも安心して備えられます。

大切な家族の負担を減らすために、そして自分自身が安心して毎日を過ごすために。
今日から、小さな一歩を踏み出してみませんか。


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この記事の監修者

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yusuke

介護福祉士・FP3級

介護福祉士として15年以上、介護現場でご利用者やご家族と接してきました。現在は個人事業主として介護タクシーを運営。FP3級。
介護の現場で見てきた"本当に困ること"をもとに、終活・介護・お金の話を、わかりやすくお伝えしています。

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