家族が亡くなった後、忙しくなるのは故人に対する悲しみを紛らわせるためと言われますが、実際にはやるべきことが多く、期限も迫っているものがほとんどです。頭を整理するためにも、メモなどにリストアップして一つひとつクリアしていきましょう。
目次
当日〜1週間
故人が亡くなった直後の1週間は、遺族にとって多くの重要な手続きが必要となる期間です。当日からやるべきことは以下の通りです。
主な手続き内容
項目 | 内容 |
---|---|
死亡の証明 | 死亡診断書または死体検案書の取得 |
関係者への通知 | 近親者や関係者への連絡 |
葬儀の手配 | 葬儀社の選定と葬儀の準備 |
死亡診断書または死体検案書を受け取る
- 死亡診断書:主治医が発行。突然死や孤独死の場合も含まれます。
- 死体検案書:警察が関与する事案(自殺など)で発行されます。
- ポイント:今後の手続きで頻繁に使用するため、コピーを数枚取っておきましょう。
近親者へ連絡する
- 対象:親戚、職場、近隣の方など
- 方法:名簿リストを作成し、喪主以外の親族で分担して連絡を行いましょう。
葬儀社を選ぶ
故人の希望がない場合、以下の基準で葬儀社を選びます。
選定基準 | 説明 |
---|---|
価格 | 葬儀社ごとの価格設定を比較 |
立地 | 葬儀会館の場所の便利さ |
評判 | 口コミや紹介、知り合いの有無 |
注意点:価格の比較時には、同条件かどうかを確認することが重要です。
遺体を搬送する
- 病院から搬送:葬儀社に依頼する場合、自宅搬送か葬儀社に直接搬送するかを決定します。
- 未定の場合:一旦自宅に搬送するよう依頼し、後で葬儀社を変更することも可能です。
死亡届の提出、火葬許可証の取得
- 葬儀社の代行:確認しましょう。
- 自分で提出する場合:
- 提出場所:死亡者の本籍地、届出人の住所地、死亡場所のいずれか。
- 期限:死亡の翌日から3日以内(7日以内に提出を推奨)。
- 重要:火葬は24時間後から可能。
通夜・葬儀・火葬をする
- 通夜:宗派や地域の習慣により必須か確認。
- 葬儀:葬儀社の指示に従う。
- 形態:家族葬が主流ですが、一般葬も検討可能。親族で相談しましょう。
初七日法要をする
- タイミング:火葬後すぐに行うことも可能。
- 利点:親族の再集結を避け、負担を軽減。
- 注意:宗派の確認を忘れずに。
当日〜2週間頃
葬儀が終わった後は、役所への届出や生活に関わる手続きが待っています。忌引などの休みを利用して進めましょう。
役所などで各申請をする
多岐にわたる手続きを以下の表にまとめました。
手続き項目 | 内容 | 期限 |
---|---|---|
戸籍関係 | 本籍地・除籍謄本、戸籍謄本の取得 | 随時 |
住民票 | 除票の取得 | 随時 |
健康保険 | 資格喪失届の提出 | 5日または14日以内 |
介護保険 | 資格喪失届の提出 | 14日以内 |
葬祭費・埋葬料 | 支給申請用紙の取得 | 2年以内 |
高額療養費 | 支給申請用紙の取得 | 2年以内 |
年金 | 死亡届の提出(10日または14日以内)、未支給年金の請求(5年以内)、遺族年金の請求(5年以内) | 各期限内 |
雇用保険 | 受給者証の返還 | 1ヶ月以内 |
運転免許証 | 返納(任意) | – |
その他 | 各親族の戸籍謄本取得 | 随時 |
銀行口座、公共料金などを解約または名義変更する
- 銀行口座:故人の確認後、速やかに凍結し、必要な手続きを行います。
- 公共料金:電気、ガス、水道、電話、インターネット、NHKなどの名義変更または解約。
- その他:クレジットカード、定期購入契約の解約、株や投資商品の確認。
注意点:口座の凍結によりライフラインが停止しないよう、早めの対応が必要です。
デジタル遺品の整理をする
- 機器の処分:初期化を行い、個人情報の流出を防止。
- オンラインデータ:契約の解約や名義変更が必要。
- アクセス問題:パスワードや不正アクセスに注意。エンディングノートの活用や専門家への相談を推奨。
生命保険の手続きをする
- 保険証券の確認:保険金受取人が手続きを進めます。
- 注意点:故人が受取人の場合、相続扱いとなるため注意が必要です。
当日〜
ここからは相続に関する手続きが主となります。財産の調査や書類の準備は専門家に依頼するのも一つの方法です。
四十九日法要をする
- タイミング:亡くなってから49日以内。
- 内容:納骨を行う場合が多く、お墓の手配も合わせて行います。
- 注意点:新しい墓石の建設には時間がかかるため、四十九日法要には間に合わない場合があります。
遺言書の有無を確認する
- 自筆証書遺言:
- 保管場所の確認(自宅、貸金庫など)。
- 家庭裁判所での検認が必要。
- 公正証書遺言:
- 法務局(遺言書保管所)に保管されているため、問い合わせが必要。
- ポイント:開封前に必ず家庭裁判所へ提出しましょう。
不動産の名義変更をする
- 期限:相続開始から3年以内(2024年4月から義務化)。
- 罰則:未変更の場合、10万円以下の過料が科せられます。
相続人・相続財産を調査する
- 調査方法:
- 金融機関で残高証明書を発行。
- 証券会社に問い合わせ。
- 法務局で不動産の全部事項証明書を発行。
- 相続放棄:相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きが必要です。
自動車の名義変更または処分をする
- 手続き場所:
- 普通自動車:運輸局へ申請。
- 軽自動車:軽自動車検査協会へ申請。
まとめ
大切な人を亡くした際には、多岐にわたる手続きや選択を行う必要があり、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。特に喪主はその負担が大きいため、家族内で役割を分担し、支え合うことが重要です。
事前にできること:
- 親族の連絡先リストアップ
- 葬儀社への事前相談と会員登録
- エンディングノートや遺言書の作成
これらを元気なうちに準備しておくことで、万が一の際に遺された家族の負担を軽減することができます。必要に応じて、専門家(司法書士、税理士、弁護士など)に相談することも検討してください。
終わりに
大切な人を失った時期は非常に辛く、やるべきことが山積みになります。しかし、一つずつ確実に進めていくことで、少しずつ状況を整理し、前に進む助けとなります。無理をせず、必要な時には周囲のサポートを受けながら進めていきましょう。