配偶者が亡くなったらどうする?相続時の注意点を解説

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大切な配偶者を亡くされたら相続手続きを進める必要があります。期限内に行うものや遺産分割上の注意点もあるため、士業や専門家に相談しながら進めることが大切です

大切な配偶者を亡くされた場合、さまざまな相続手続きを残された配偶者が中心となり行う必要があります。こうした「相続手続き」は種類が多く、期限内に行わなければいけないものも多いため注意が必要です。

そこで、本記事では配偶者を亡くされた方が直面する相続について、基礎知識から具体的な注意点までをわかりやすく解説します。事前に知っておくべきポイントを押さえることで、少しでも安心して手続きを進められるよう、お手伝いできれば幸いです。

目次

配偶者が亡くなったら|知っておきたい相続の基礎

亡くなられたご家族の財産を相続で引き継げる人を「法定相続人」と呼びます。この章では配偶者が亡くなられた際に、残された配偶者が行う必要がある相続手続きの基礎をわかりやすく解説します

残された配偶者は常に相続人となる

夫や妻を亡くされた場合、もう一方の配偶者は「常に法定相続人」となります。法定相続人は民法で定められており、順位や配分についても規定されています。遺言書がなく、遺産分割協議が必要な場合は配偶者の法定相続分を知っておく必要があります。

・内縁関係は含まない

いわゆる事実婚や同性婚、内縁関係にあるパートナーは、夫婦として生活していたとしても、法律上の夫婦ではありません。そのため、原則として法定相続人にはなれません。

法定相続分はどうなる?

配偶者が常に相続人となる一方で、配偶者以外の相続人が誰であるかによって、配偶者の法定相続分は変動します。 法定相続分も民法によって定められており、遺産分割協議の目安となります。

・配偶者のみ すべて配偶者が相続する

・配偶者と子(直系卑属)がいる場合 配偶者2分の1、子2分の1

 (例・妻2分の1、子2名がいる場合はそれぞれ4分の1ずつ)

・配偶者と両親(直系尊属)がいる場合 配偶者3分の2、両親3分の1

(例・夫3分の2、亡妻の両親はそれぞれ6分の1)

・配偶者と兄弟姉妹がいる場合 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

(例・妻4分の3、亡夫の兄2名が8分の1ずつ)

【押さえておきたいポイント】

法定相続分はあくまで法律上の目安であり、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって、これと異なる割合で遺産を分けることも可能です。ただし、遺産分割協議がまとまらない場合の基準となるため、基礎知識として理解しておきましょう。

配偶者が亡くなった後にやるべき5つのこと

配偶者を亡くされた後は、相続手続きを進める必要があります。ここでは、特に重要な5つのことをご紹介します。手続きを適切に行うことで後のトラブルを防ぎ、故人の遺志を尊重した相続を実現することができます。

相続財産の種類や金額を確定させる

相続手続きの第一歩は、被相続人(故人)がどのような財産をどれだけ持っていたかを正確に把握することから始めましょう。

プラスの財産(現金や預貯金、不動産、有価証券など)だけでなく、マイナスの財産(借金やローンなど)もすべて洗い出す必要があります。

  • 預貯金口座の確認

銀行や証券会社からの郵送物や通帳、キャッシュカードなどを確認

  • 不動産の確認

登記簿謄本や固定資産税の納税通知書などで、所有する不動産を把握

  • 有価証券の確認

証券会社の取引報告書や株式の配当通知などで、株式や投資信託などを確認

  • 借入金の確認

ローン契約書や借用書、クレジットカードの明細などを確認

いわゆる相続財産を正確に把握することで相続の全体像がわかるため、遺産分割協議や相続税申告の有無が判定できます。なお、相続財産の確定の際には、あわせて遺品整理も進めるとよいでしょう。遺品整理については以下をご一読ください。

関連記事:知っておきたい遺品整理の注意点!困った時の相談先も詳しく解説

遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を残しているかも確認が欠かせません。遺言書がある場合、原則としてその内容が法定相続分に優先して適用されます。遺言書の探し方はおもに以下です。

  • 自宅内を探す

金庫や机などの引き出し、書斎など保管していそうな場所を探す

  • 公正証書遺言

公証役場で公正証書遺言を作成していれば、全国どこの公証役場からでもその存在を照会可能

  • 自筆証書遺言書保管制度

2020年7月10日以降に法務局に保管された自筆証書遺言は、法務局で保管

社会保険等の手続きを行う

被相続人が加入していた社会保険(健康保険など)や、その他の公的な手続きは定められた期限内に行う必要があります。

健康保険の場合、会社員等で健康保険に加入していた場合は、事業主を通じて5日以内に資格喪失の手続きを行う必要があります。国民健康保険では、14日以内に資格喪失届を市区町村へ提出する必要があります。厚生年金は事業主が5日以内に資格喪失の手続きを行います。国民年金は、被保険者の死亡によって資格が自動的に消滅しますが、死亡届の提出が必要です。

ご遺族が扶養されていた場合は加入手続きを変更する必要があるほか、葬祭費の請求などが可能な場合もあるため、被相続人の加入状況に合わせた手続きが必要です。社会保険等の手続きは期限がご逝去後の手続き期間が短いため、忘れないように注意しましょう。健康保険証の返却や、必要に応じて世帯主変更届なども必要です。

死亡保険金の請求

被相続人が生命保険に加入していた場合、受取人となっている方が死亡保険金の請求手続きを行います。死亡保険金は相続財産とは別に受取人固有の財産となるため、相続放棄をした場合でも受け取ることが可能です。遺産分割協議よりも先行して受け取れます。

(ただし、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象となるケースに注意)

遺産分割協議を行う

遺言書がない場合で複数の相続人がいる場合、「遺産分割協議」が必要です。

  • 相続人の確定
    被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得し、法定相続人を確定させる
  • 相続財産の確定

前述の通り、すべての相続財産をリストアップ

  • 協議

相続人全員で、どの財産を誰がどれだけ相続するかを話し合う

  • 遺産分割協議書の作成

話し合いがまとまったら、その内容を記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名捺印する

不動産の名義変更や預貯金の払い戻しには、この遺産分割協議書が必要

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判を検討します。

配偶者の相続における注意点とは

配偶者の相続を進める上で、特に注意しておきたい点があります。では、どのような点に注目して進めるとよいでしょうか。この章で詳しく解説します。

眠っているデジタル資産がないか確認

被相続人の財産は形のあるものだけではありません。生前に利用していたスマホやパソコン、クラウドサービスなどには、デジタル資産が眠っている可能性があります。財産になるデジタル資産は多いですが、サブスクのように解約が必要なものも多いため確認をしましょう。

  • オンライン銀行口座や証券口座
  • 暗号資産(仮想通貨)
  • SNSアカウントやブログ、メール
  • サブスク※定期的に引き落としが行われるサブスクリプションサービス(動画配信、音楽配信、ソフトウェアなど)の契約解除を忘れると、無駄な支払いが続くことになります

関連記事:家族に内緒の財産はどうなる?押さえておきたいデジタル遺産の注意点

前妻・前夫との子に注意

被相続人の前妻・前夫との間に子がいた場合、たとえ一緒に暮らしていなくても「実子」として法定相続人になります。

現在の配偶者とその間にいらっしゃる子にとっては、面識がない、あるいは関係性が希薄であり遺産分割協議を避けたいと感じることも多いでしょう。

しかし、前妻・前夫の子でも相続権を持つことになります。遺産分割協議に参加していない相続人がいる場合、その協議は無効とされる可能性があります。すべての相続人が協議に参加し、合意する必要があります。

相続税申告が必要なら期限に注意

相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要になります。相続税の申告・納付には、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限が定められています。この期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。

  • 相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)」で計算(※令和6年6月現在の制度)
  • 小規模宅地の特例など、相続税には特例や控除が多いため、基礎控除を超えても相続税申告は0円になる可能性がある

相続財産の評価や相続税の計算は複雑なため、相続開始後は税理士に相談することがおすすめです。

配偶者が相続税申告する場合のポイント

配偶者が相続人となる場合、相続税の計算において有利な特例が設けられています。配偶者向けの控除である「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」です。

配偶者が相続する財産のうち、「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか多い金額までは相続税がかからないという控除です。

この特例が適用されれば、ほとんどのケースで配偶者に相続税はかからない、あるいは大幅に軽減されます。ただし、この特例を適用するためには、相続税の申告期限までに遺産分割が確定していることが条件です。

(ただし、未分割でも申告期限後3年以内の分割見込み書を提出すれば適用できます)

まとめ

本記事では、配偶者が亡くなられた時に相続について注意点を中心に詳しく解説しました。デジタル資産や前妻・前夫との子も含めた遺産分割についても詳しく解説しましたので、必要に応じてご参考ください。

相続手続きは専門的な知識が求められる場面が多く、ご自身で全てを完璧に進めるのは困難な場合があります。疑問点や不安な点があれば、弁護士や税理士などの士業や、デジタル資産に精通した専門家へ早めに相談することがおすすめです。

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